[ポスターY-14-2] コロナ禍における術後呼吸器合併症予防演習での学生の学び
―KH coderによる分析―
Keywords:コロナ禍、成人看護学、技術演習、術後呼吸器合併症予防、KH coder
【目的】新型コロナウイルス感染症拡大状況下(以下、コロナ禍)においても、看護教育の継続と質の向上が求められており、実習前の学内演習等で準備性を高めることの有用性が指摘されている。コロナ禍に合わせた演習形態による学生の学びを明らかにすることを目的とする。【方法】A 看護系大学の2021 年度成人看護学の術後呼吸器合併症予防演習(早期離床・排痰法・気管吸引)で、85 名を3 グループに分け(1グループ28 ~ 29 名)、連続した3 コマで、1 コマずつ入れ替えて内容毎にローテーションし、密閉・密集・密接を避けた環境で実施した。学生の事前学習としてオンデマンド型のe-learning で離床の援助を視聴し、留意点を考え取り組むことを課題とした。演習後に記載された「演習についての感想や気づいたこと」の自由記載内容をKH coder を使用し分析した。頻出語を抽出し、それぞれの語彙の関係性を明らかにするために共起ネットワーク分析を行った。対象者に研究への参加は自由意志であり、同意撤回可能であること、結果は個人が特定されないこと、成績評価に影響がないことを説明した。【結果】総抽出語のうち出現回数の多い語は〈患者〉〈演習〉〈実施〉等であった。共起ネットワークで6 つのカテゴリーが出現し、含まれる語の意味内容を要約した。『早期離床の援助の必要性』『デモンストレーションから得た実践の視点』『演習を通しての根拠の気づき』『少人数での意見交換のしやすさ』『気管吸引の患者の苦痛』『患者・看護師体験とその共有からの学び』であった。【考察】コロナ禍の本演習では、3密を避け、学生の事前学習や教員のデモンストレーションなど、演習の組み立てを工夫した。学生は『デモンストレーションから得た実践の視点』を学び、その後に術後1 日目の離床場面の実践に取り組んだ。学生自身が実践した説明のタイミングや声がけから『早期離床の援助の必要性』を認識し、振り返りを通し根拠を考えることで『演習を通しての根拠の気づき』に繋がっている。3 密を避けた学修環境で『少人数での意見交換のしやすさ』から積極的に学びを深めていた。気管吸引の器具を見て手技方法に触れ、患者の苦痛を想像し『気管吸引の患者の苦痛』の学びを深めた側面も示された。さらに、役割をもって演習することにより、対象患者の理解や看護のあり方等の『患者・看護師体験とその共有からの学び』を得ていた。