[ポスターY-14-5] 新卒新人看護師に配属前ローテーション研修を実施した効果
―新型コロナウイルス感染症禍における新卒新人看護師への教育―
Keywords:配属前ローテーション研修、新卒新人看護師、リアリティショック、新型コロナウイルス感染症
【目的】新型コロナウイルス感染症の流行により看護学校では臨地実習が行えていないという情報を得た。日本看護学校協議会共済会が行った調査では、30%の学校で臨地での滞在時間や対象と関わる時間、看護技術の実施回数等が50%以上減少しているという。このような状況下で入職する新卒新人看護師(以下新人と略す)に対しリアリティショックを緩和し、臨地実習の経験不足を補う工夫が必要と考えた。そこで配属前ローテーション研修(以下研修とする)を導入した。研修の効果を新人のアンケートから明らかにし、今後の新人研修の方法の一つとして考え、本研究に取り組んだ。【方法】アンケート実施期間:研修終了時、アンケート方法:自記式質問用紙調査、対象:2021 年度・2022 年度入職新人10 名、分析方法:コーディスト自由回答コーディングAI による分析、研修期間・場所:病棟(4 か所)、外来、透析室、手術室、病棟は10 日間、病棟以外は3 日間を入職後3 ヶ月間実施した。研修中は、出勤時・昼休憩・退勤前を新人同士が同じ部屋で過ごすように配慮した。本研究は、倫理審査委員会の承認を得て、個人が特定されないよう配慮した。【結果】アンケートより46 件の回答を得、10 のコードに振り分けた。「特定の部署での経験が有益だった。」「各病棟の特徴や雰囲気を理解できた。」という回答は15 件、「研修の方法(時期・人数)が適切だった。」15 件であった。「入職前に研修の存在を知っていた。」4 件、「新人同士の交流が深まった。」という回答が3 件あった。【考察】松井らは「ローテーション研修がリアリティショックの軽減に役立っており、研修をもとに自分で配属先を選択することはモチベーションの維持につながる。」と述べている。「特定の部署での経験が有益だった」「各病棟の特徴や雰囲気を理解できた」という回答から各部署の特徴や雰囲気を部署配属前に知ることで配属後のリアリティショックの軽減につながっていると考える。また「同期の存在は精神的支えとして非常に重要であり、仕事を続けていくうえでもかけがえのない存在といえる。」富田らはと述べている。新人同士の交流が深まることで絆が生まれ、配属後もその関係性が継続されていくものと考える。これらの結果を踏まえ、研修は新人のリアリティショック緩和や離職防止にもつながると考え、新人研修の方法として取り入れる価値があると考える。