[ポスターY-14-4] 新人看護職員の社会人基礎力の動向と必要な支援
Keywords:社会人基礎力、新人看護職員、新人教育
【目的】2006年経済産業省より職場や社会で必要な基礎能力として社会人基礎力が提唱された。臨床現場においても新人看護職員に求められる能力である。新人看護職員が臨床現場に順応するための社会人基礎力を向上させるためには、どのような支援が必要であるのかを調査し分析する。【方法】A病院の新人看護職員2021年度84名と2022年度74名を対象に入職時、3か月目、10か月目において社会人基礎力のチェックリストを用い、自己記述式調査を行った。質問用紙は無記名とし個人が特定できないよう配慮、回答をもって同意とした。【結果】回収率は2021年度100%、2022年度91%であった。社会人基礎力の12項目の能力要素について、2021年度入職者は入職時、3か月目、10か月目と経過するにつれて、12項目の能力要素の点数が全て上昇した。2022年度入職者は10か月目において、9項目の能力要素の点数が入職時より下降した。しかし2021、2022年度入職者の10か月目の点数自体は、12項目の能力要素全てがほぼ同点であった。10か月目において、2021、2022年度入職者ともに「規律性」が2.8点と最も高く、「課題発見力」「計画力」「創造力」「発信力」が2.3点と最も低かった。3つの能力カテゴリー別では「前に踏み出す力」2.5点、「考え抜く力」2.3点、「チームで働く力」2.5点と、「考え抜く力」が他の能力と比較して低かった。【考察】社会人基礎力の能力点数が、2021年度入職者は経過とともに上昇したが、2022年度入職者が低くなっていったのは、コロナ感染対策の影響で臨床実習の制限期間が長く学内演習が主であったため、就職してからの臨床現場においてリアリティーショックを強く感じ、社会人基礎力を十分発揮できなかったのではないかと推察される。3つの能力カテゴリー別では、2021、2022年度入職者ともに、チームナーシング制により「チームで働く力」が高まり、独り立ちが始まる3か月目以降では「前に踏み出す力」も高まっていったのではないかと考えられる。しかし「考え抜く力」は10か月目においても低い点数となっており、患者により良いケアを提供するための患者家族への関りを通して、自身で課題を見出し、解決のための計画を立案し、その対策を創造することができるための支援は、今後も引き続き必要であることが示唆された。