第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター17群 看護職間・他職種との協働③

Wed. Nov 8, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:三輪 真砂子

[ポスターY-17-1] 看護師のみで構成された食支援チーム立ち上げのプロセスと活動の振り返り

佐藤 由佳, 深田 郁恵, 佐藤 加寿子, 佐々木 悠, 田道 智治 (並木病院)

Keywords:食支援、チーム立ち上げ、摂食嚥下チーム、摂食機能療法、中小規模病院

【目的】首都圏にある中規模の在宅療養支援病院A 病院における、看護師のみで構成された食支援チーム(以降、チームとする)の企画から立ち上げまでのプロセスを示す。さらに、チームメンバーで活動を振り返り、今後の展望を考察する。【方法】本研究は、A 病院の倫理委員会の承認を得ている。「立ち上げのプロセス」は、病院管理者の許可を得て企画書等の資料を閲覧し、関連する内容を抽出し研究データとした。分析は、データを経時的に整理した。「活動の振り返り」は、チームメンバーのうち研究協力の同意が得られた7 名に約1 時間のグループインタビューを実施し、内容を逐語録に起こし研究データとした。データから関連する内容を抽出し質的帰納的に分析した。研究の全過程において個人が特定されないよう配慮した。【結果】1.立ち上げのプロセス:A 病院には、2019 年度時点で NST などの多職種による摂食嚥下チームはなく、言語聴覚士や摂食・嚥下障害看護認定看護師など摂食嚥下に特化した専門職がおらず、看護要員が試行錯誤で食事介助を行っていた。2019 年10 月食支援に関わる外部研修を受講したスタッフ看護師が、翌11 月主体的に「食支援プロジェクト」を企画した。その企画書が2020 年4 月に就任した教育の責任者の目に留まり、看護師のみによる食支援チームを立ち上げた。なお、2023 年現在、摂食機能療法を算定するまでに至っている。2.活動の振り返り:21,770 文字のデータから129 のコード、38 のサブカテゴリ、16 のカテゴリ、5つのコアカテゴリが形成された。5 つのコアカテゴリとは、①「食べること」を支える専門職としての自己覚知が深まる、②食支援の健康と幸福への貢献と限界を実感する、③食支援体制が揺らぎ翻弄されようとも志を失わず拡大を目指す、④「看護師のみ」ではなかったことを顧み、改めて多職種・地域連携強化を望む、⑤教育の責任者の支えに感謝しつつ病院との橋渡しを期待するである。【考察】今後の展望として、①食支援への意識変化とスキルの向上、看護師としての個人的自己と専門的自己覚知の好循環で自己覚知を深める、②加齢や病的加齢を限界と捉えず目標志向型思考に転換する、③揺らぎつつも翻弄されない食支援体制を拡大するためIT を活用する、④多職種・地域との食支援の話し合いの機会やシステムを設ける、⑤教育の責任者が役割を発揮するが考察された。