[ポスターY-19-1] 認知症患者の睡眠障害に対する効果的な介入
―サーカディアンライトを適切に使用した一事例―
Keywords:認知症、高齢者、睡眠障害、サーカディアンライト
【目的】睡眠障害を有する認知症患者の、睡眠障害の改善に効果的だった介入を振り返る。【方法】対象は認知症自立度Ⅰの80 代女性で、舌潰瘍・多発口内炎・悪性関節リウマチ・間質性肺炎にて60 日間入院した。研究デザインは事例研究、データ収集方法は主観的データをアテネ不眠尺度と独自に作成したアンケート用紙の聞き取り調査、客観的データを行動記録とした。アテネ不眠尺度と行動記録は毎日実施し、アンケートは介入前と介入開始後5 日目及び退院時に実施した。介入は入院37 日目~退院日まで実施し、介入前後のデータを単純集計し比較した。介入内容はサーカディアンライトの終日使用や日中の活動促し等を実施した。倫理的配慮は対象者に、研究の趣旨と個人情報保護、研究への参加は自由であり途中で辞退しても不利益を被らないことを説明し、署名による本人と家族の同意を得た。【結果】入院後より入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒が出現し、眠剤の調整を行ったが不眠の訴えは持続した。入院37 日目から退院日までサーカディアンライトを終日使用した。日中の離床を促したが、原疾患悪化等による移乗の拒否があり、ADL が低下し、離床困難となった。本人と薬の内服時間を話し合い、不眠時はナースコールを押すよう繰り返し説明した。介入前後のデータの平均値を比較すると、アテネ不眠尺度の点数は介入前10 点、介入後7 点であった。アンケートでは「前より眠れる時間が長くなった」等の前向きな発言が増えた。睡眠時間は介入前6.5時間、介入後5.6 時間、連続睡眠時間は介入前4.1 時間、介入後4.5 時間、午睡は介入前0.9 時間、介入後0.3 時間だった。介入開始後から中途覚醒時は屯用薬を希望し、眠前薬の内服時間の提案も自ら行うようになった。介入開始後9 日目以降は不眠時屯用薬を使用せず連続して睡眠がとれた。【考察】アテネ不眠尺度の平均点数が下がり、主観的にも不眠感が改善されたことが分かる。平均睡眠時間は短くなったが、連続睡眠時間は延び、午睡の時間は減少したことから、睡眠の質は改善したと考える。離床困難で、日光浴のための移動が困難な患者に、サーカディアンライトは効果的だったと考える。また、サーカディアンライトのみに限らず、不眠に対する具体策を本人と一緒に考え、本人に寄り添った看護を積み重ねていくことが睡眠障害に対して有効だった。