[ポスターY-19-3] 認知症患者のケアに携わる一般病棟看護師が抱く思い
Keywords:一般病棟看護師、認知症患者、迷いと葛藤
【目的】認知症症状を有する患者が、様々な疾患の治療のために入院することがある。A 病院一般病棟において、認知症の中核症状や周辺症状(BPSD)を有する患者への対応に困難を感じる事例があった。安全な治療や看護などの役割を果たそうとする一方で、認知症患者への対応を求められることから、患者ケアにおいて迷いや葛藤が生じている場面が多く見られた。A 病院一般病棟に勤務する看護師を対象に、一般病棟において認知症症状のある患者へのケア提供の際に抱く思いを明らかにし、今後のより良いケア提供に繋げたいと考えまとめた。【方法】2021 年10 月にA 病院一般病棟に勤務するスタッフ14 名(男性2 名女性12 名、平均経験年数11.7± 9.96 年)を対象に、認知症症状を有する患者のケア提供に関するインタビューガイドを作成し半構造化面接を実施。聞き取りから逐語録を作成し質的記述的分析法にて分析しカテゴリー化した。対象者には研究趣旨、IC レコーダーの使用、個人情報の保護と研究参加は自由意思であり不利益は生じないことを説明し同意を得た。【結果】逐語録から183 枚のラベルが抽出された。4 回の作業で15 個のサブカテゴリーから2 つのカテゴリーに分類した。カテゴリー1. 医療的ケアを提供する中で様々な業務に対応しながら、認知症患者に対応することや個別性のあるケアに繋げることに苦慮している。カテゴリー2. 認知症患者への対応に理解不足や迷いはあるが、やりがいを感じる場面もあり、患者が安心して過ごせる環境を目指している。【考察】一般病棟に勤務する看護師は、治療目的とする患者のケアに対応しながら認知症患者への対応することについて迷いや葛藤を抱いており、一般病棟で認知症ケアを進めることの難しさが明らかになった。また認知症患者の安全を確保することを目的に、家族の同意を得て行動制限をさせていただくこともある。このような場面が継続的に生じることは、看護師にとって強い疲弊感に繋がっている。一方で、認知症患者を理解しようという思いやどう対応すべきだったのか振り返り、学びながらケアについて模索していることも伺える。看護師は治療を必要とする患者の対応をしつつ、認知症患者も落ち着いて過ごせるような検討や、寄り添えるケアを目指している。一般病棟において認知症患者も過ごしやすい構造的な環境改善の必要性があると考える。