第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター20群 高齢者、認知症の人の看護②

Wed. Nov 8, 2023 3:45 PM - 4:45 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:大柴 幸子

[ポスターY-20-4] 内服治療が必要な患者に対して看護師が考える自己管理に必要な条件

宮岸 亜美 (神鋼記念病院)

Keywords:高齢者、継続的な内服、内服自己管理

【目的】高齢化に伴う様々な要因で内服自己管理が困難な患者は少なくない。A 病棟における入院患者の年齢別の割合は70 歳以上が70%以上を占め、半数以上が6 種類以上の薬を内服していた。退院後も内服管理を行うことは慢性疾患の病状を管理するには必要不可欠であるが、退院に向けて内服自己管理を進める看護師の判断基準についての研究報告は少ない。本研究ではA 病棟の看護師が考える内服自己管理の判断基準を明らかにする。【方法】A 病棟の卒後2 年目以上の看護師を対象とし、アンケートとインタビューを実施した。A 病棟に2022 年7 月~ 9 月までに入院し、内服治療を受けた患者(入院期間5 日以上2 ヶ月以内の137 名)の薬剤情報と入院期間をカルテから情報収集した。本研究は院内の倫理委員会による承認と研究協力者に文書による同意を得てから実施した。【結果】対象者21 名中男性3 名、女性18 名、平均年齢27 才、平均看護師歴5.6 年であった。自己管理に必要な条件は《座位保持、手指・上肢の可動が可能な身体機能》《文字や薬の色・形の判別、会話が可能な感覚機能》《日常生活を気にかけることが可能な精神状態》《用法や薬効の理解に必要な認知機能》の4 カテゴリーが抽出された。【考察】大きな文字が読める人や道具を使い(工夫することで文字を読んだり形の判別ができる)人、開封に道具が必要など(開封介助があれば内服できる)ことが、内服管理に必要な〈視力と聴力、開封動作〉に含まれている。しかし入院前に自己管理をしていた人でも、入院中は確実な薬剤の投与が重要視され、飲み間違いや取りこぼしのリスクがある患者は看護師管理となっている。また症状が改善し(自分で身の回りのことができる)ようになった時や、患者自身から(できるとの発言がある)など〈患者の意欲〉が見受けられた時は自己管理可能と考えるが、管理方法の決定は看護師の主観的判断で行っており、自己管理への変更が困難な要因となっている。高齢者は薬物動態の加齢変化やポリファーマシーを背景として薬物有害事象が出現しやすく内服管理能力の低下にも繋がる。入院時から意欲を高められるようカンファレンスを行い共通認識を持つことで退院後の内服管理についての介入を早期から実施していく必要がある。そのため、院内で統一した内服管理に向けた支援ができるようにアセスメントツールの作成を医療安全と協同して取り組んでいる。