[ポスターY-21-2] 高齢糖尿病患者に対する視覚的特徴のあるパンフレットを使用したインスリン指導
―手技獲得に向けて―
Keywords:高齢者、インスリン指導、パンフレット
【目的】A 病院の糖尿病内科は、高齢者の初回インスリン導入で手技獲得が困難な患者が多い現状にある。本研究は高齢者の特徴を踏まえ視覚的特徴のあるパンフレットを作成し、高齢糖尿病患者へのインスリン手技獲得の効果を明らかにすることを目的とした。【方法】研究デザインは事例研究・質的研究とした。研究対象者は、糖尿病内科に入院した65 歳以上の高齢者で、認知機能低下した人を含む初回インスリン導入の患者3 名とした。データ収集方法はパンフレットを使用した手技獲得状況と発言を記録に記載し、退院前にインタビューガイドを用いてインタビューを実施した。分析方法は、インタビュー内容を逐語録に起こし、記録から関連する文節を抽出し類似性に着目してカテゴリー化した。倫理的配慮は研究倫理委員会承認後、研究目的と個人情報の守秘を説明し、同意を得て実施した。【結果】分析結果は、20 コードが抽出され、7サブカテゴリ、2 カテゴリに分類された。対象者は「インスリン注射への抵抗の有無」「インスリン手技の難しさ」「インスリン手技の困難だった点」「指導に対する思い」のインスリン注射への考えや手技の難しさ等の発言があり、〈インスリン注射に対する思い〉というカテゴリが導き出された。「メーカー製と独自パンフレットの比較と改善点」を含むパンフレットの効果に関する発言があり、〈パンフレットの有用性〉というカテゴリが導き出された。また、インスリン自己注射チェック表の「実施」9 項目のうち、3 人中2 人が3日以内に9 項目の手技取得が可能であった。一方で、HDS-R:18 点の患者は、手技獲得が困難だったため、一日のインスリン回数を4 回から1 回に変更し、家族へのインスリン指導が行われ、可能な手技の項目が減少した。【考察】1. 高齢者の特徴を捉えて作成したパンフレットは手技獲得の効果が得られ、パンフレットの有用性が明らかになった。2. 正確なインスリン手技が血糖コントロールに関与するため同じ媒体を退院後も継続的に使用できることは効果的である。3. 認知機能が低下した患者に対する手技獲得には限界があるため、患者の躓く手技や効果的な指導方法を検討し、早期にサポート調整や家族へインスリン指導を行う必要がある。4. 高齢者は認知機能の変化に伴い手技確認の必要性が生じるため、インスリン指導外来や療養支援外来を活用し、積極的な継続支援に繋げる必要がある。