第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター22群 精神看護

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:中澤 範子

[ポスターY-22-6] 精神疾患患者に対する手術後リハビリテーションの効果

峰村 美月 (東京都立松沢病院)

Keywords:精神疾患、手術後、リハビリテーション

【目的】精神科専門病院の身体合併症病棟は、手術後の身体侵襲や急激な生活環境の変化等により精神症状が悪化しやすく、手術後のリハビリテーションの協力が得られ難い現状がある。今回、患者の意向を尊重しながら手術後のリハビリテーション(以下リハビリとする)が進められるよう多職種と連携して一症例の介入方法を検討した結果、リハビリの効果が得られたので報告する。【方法】20XX 年X 月からX + 2 月、A 氏70 歳代女性。診断名は統合失調症、未婚で単身生活を送っていた。今回、訪問者が左大腿部腫脹に気づいて受診を勧められ、左大腿骨転子部骨折の治療目的で入院となった。手術後早期からベッドサイドリハビリを開始したが、介入当初は消極的であったため、A 氏とリハビリの進め方を話し合い単身生活への希望を確認した。理学療法士とリハビリ内容を検討し、対象者の言動と行動および可動域の拡大をもとに評価・分析した。倫理的配慮は、対象者に研究目的、方法、個人情報保護について説明し同意を得た。A 病院看護部倫理審査会の承認を得て実施した。(承認番号2022 ‐ 13)【結果】A 氏は、医師と理学療法士から中距離程度であれば歩行可能であることの説明を受けるとA 氏は納得し、20 m程度の歩行練習を開始できた。A 氏から「以前のように動けなくなった」という悲嘆の訴えが聞かれた際は、入院前と同様に可能な行動を用紙に書き出し、リハビリの効果を一緒に確認した。また、疑問点や不安な点を確認し、その都度共感し不安感を取り除くよう介入した結果、関節可動域が拡大し立位保持が可能になった。さらに、A 氏の思いを尊重し、希望に沿ったリハビリ方法を共有した結果、個別性のある具体的な介入に繋げることができた。A 氏からは、「リハビリ頑張ります」という意欲を示す発言があり、5 日後には、室内トイレまで移動できるようになった。【考察】A 氏自身が、どのような生活を送りたいのか、患者のニーズが把握できるようにコミュニケーションを図ったことで、リハビリに対する思いや希望の表出に繋がったと考える。精神科看護師は、患者の回復可能な身体能力に着目し、現状とのギャップを解決するために必要な解決策を一緒に考えることはリハビリを促進するために重要である。