[ポスターY-25-4] 在宅における内服抗がん剤の服薬アドヒアランスの困難要因について
Keywords:アドヒアランス、経口内服抗がん剤、セルフケア支援
【目的】がん患者の在宅におけるアドヒアランスは、病期の進行・生活環境・サポート体制などに大きく影響されることから、治療継続へ理解とともに、患者がどのような療養生活をおくっているか認識した上で支援することが重要とされる。そのため、本研究では、過去に十分なアドヒアランスを得ることが出来なかった症例を振り返り、患者の置かれた境遇から、それに至った背景を探ることで、困難となった要因を明らかにし外来看護の質の向上に寄与したいと考えた。【方法】過去に経口内服抗がん剤服用された患者から治療中にアドヒアランスの維持困難をきたした3 症例に対し、困難要因として、患者・治療・環境・医療者側の4 項目について情報収集を行った。活用する情報は、これまでのカンファレンスの記録・患者の言動・看護記録・社会的な支援などから収集を行い、内容の類似性に沿いそれぞれにカテゴリー分類し、その背景について考察し、それらをもとに外来の場での情報共有の方法を模索した。倫理的配慮として、対象者に、研究への参加は自由意志・任意であり、匿名性と撤回しても不利益はないことを説明し同意を得た。【結果】4 つの困難要因として、患者要因は「治療に対する理解」「高齢」「理解の継続」などの7 項目、治療要因は「治療への抵抗・忌避感」「副作用症状からの身体的消耗」「治療の長期化」などの4 項目、環境要因は、「家族の理解」「独居」「支援者の不在」「通院が困難」などの7 項目、医療者側の要因は、「説明不足」「関係性」「コミュニケーションの不足」「生活環境の把握困難」など5 項目を抽出した。【考察】治療中にアドヒアランス維持困難をきたした3 例は、いずれも高齢・独居・支援者の不在・2 年以上の病歴などが共通として挙げられた。アドヒアランスを維持するためには、患者を取り巻く環境と合わせて、看護師が、時間とともに低下するQOL を把握し適切に対応・支援することと、それらの情報を、外来治療の場で継続的にモニタリングしていくための情報が共有できるツールが重要と考えた。また、今回の症例から、高齢がん患者は、必ずしもがん治療を積極的に行うことを価値としないことも考察し、患者が抱える背景や思いに理解を寄せ、こうした多側面からなる要因を的確に捉えることが出来るよう服薬アドヒアランスのチェックシートを作成・運用し、活用しながら、適切な支援に取り組むことを今後の課題とした。