[ポスターY-25-5] 退院支援従事者における多職種連携コンピテンシー
Keywords:コンピテンシー、多職種連携、退院支援従事者
【目的】A 病院退院支援従事者の多職種連携コンピテンシーを明らかにし、連携教育の示唆を得る。これは重層的な多職種連携を行うための質の担保や多職種共通の課題が明らかとなる。【方法】A 病院退院支援従事者へ半構造的質問紙調査、質的帰納的分析を行った。意味内容を損ねぬようコード化し、類似したものをカテゴリー化した。A 病院倫理審査の承認を受け、研究協力者の同意を得て個人情報保護等の倫理的配慮を行った。【結果】研究協力者は看護師、社会福祉士、精神福祉士の計12 名から回答を得た。1. 多職種間コミュニケーションで大切にしていることは[職種役割の理解][存在価値][他者への配慮]の3 カテゴリーが示され、2. 多職種との関係で意識していることは[専門性への理解][専門的知識の尊重][思考・価値観の相違][話しやすい雰囲気作り][情報共有]の5 カテゴリーが示され、3.多職種を理解するには何が必要かは[多職種の役割と専門性の理解][他者理解と尊重][情報交換][自己のスキルアップ]の4 カテゴリーが示された。また、全員が多職種間コミュニケーションを意識的に働きかけていると回答した。【考察】医療を取り巻く環境の変化に柔軟に対応するため、チーム医療における多職種の活用や多職種と協働し成果をあげることが求められている。A 病院退院支援従事者は多職種で構成され、退院支援という役割を様々な職種が担っている。研究結果の[職種役割の理解][多職種の存在価値][専門性への理解][専門的知識の尊重][思考・価値観の相違][多職種の役割と専門性の理解][他者理解と尊重]の示されたカテゴリーから、各職種が他の職種の役割や専門性、思考等を理解することを大切に意識的に働きかける「多職種を理解する」コンピテンシーが明らかとなった。また、[話しやすい雰囲気作り][情報共有][情報交換]のカテゴリーから、複雑化する事例に対し互いの専門の相互作用から解決する関係性の構築や支援を行う「関係性に働きかける」コンピテンシーが明らかとなった。多職種の専門能力を最大に活かした連携を円滑に進めるために本研究で明らかとなった「多職種を理解する」「関係性に働きかける」コンピテンシーは協働的能力として重要である。協働的能力は各専門職単独で学べる能力ではなく、複数の職種との連携を通じて学べる能力であることが明らかとなり、連携教育の必要性が示された。