第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター29群 医療安全①

Thu. Nov 9, 2023 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:髙橋 久美

[ポスターY-29-5] 脳卒中患者における尿道留置カテーテル長期留置の要因

岡村 あゆ美, 吉田 志乃 (市立東大阪医療センター)

Keywords:脳卒中、実態調査、尿道留置カテーテル

【目的】脳卒中患者の尿道留置カテーテルの留置期間と背景を過去のデータから調査し、早期抜去に至らない要因を明らかにする。【方法】対象はA 病棟に脳卒中で入院し、2021 年1 月から12 月の期間に尿道留置カテーテルが挿入されていた患者とし、実態調査を行った。また、尿道留置カテーテル抜去後の排泄介助に対する業務負担やストレスに関するアンケートを同意の得られたA 病棟の看護師25 名に実施した。14 日未満に抜去できた短期群と長期留置となった長期群で比較・分析を行った。分析方法はMicrosoft Excel(2016)の分析ツールを使用し、各調査項目に対して、カイ二乗検定またはフィッシャーの正確確率検定を実施した。意識レベル、日常生活自立度、アンケート結果については検定後に残差分析を実施した。倫理的配慮として、院内倫理審査委員会の承認を受け、データ分析の過程では個人情報の保護を徹底し、個人が特定されないよう配慮を十分行った。また、今回の研究で得た情報は研究以外で使用しない。【結果】対象となったのは84 名(短期群45 名、長期群39 名)であった。手術、ICU 管理、麻痺、言語障害の項目で「有り」となった割合は長期群の方が優位に多かった(p > 0.05)。JCS 3 桁、日常生活自立度ランクC の割合も長期群で多くなっていた(p < 0.001)。また、尿道留置カテーテルの必要性を検討した記録が無かった症例の割合は、短期群で55.6%、長期群で79.5% と長期群で多かった(p < 0.05)。特に再挿入後に評価記録のない症例が多くみられた。看護師へのアンケート結果では、尿道留置カテーテル抜去後のオムツ交換に対して業務負担やストレスが「ある」・「少しある」との回答が、ランクJ で7 名、ランクA で11 名、ランクB で19 名、ランクC で20 名と日常生活自立度が低くなるにつれて高くなっていた。【考察】尿道留置カテーテル留置が長期化する要因として、脳卒中疾患の重症度が高いことや意識レベルが低く意思疎通が困難であること、麻痺があり、日常生活自立度の低いことが関連していると明らかになった。また、看護師側の要因として、尿道留置カテーテルを早期抜去することへの関心の低さや心理的な部分も関連していることが示された。