第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター3群 ワークエンゲージメントを高める③

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:伊藤 恵

[ポスターY-3-5] 看護師の転職行動とキャリア発達への影響

―インタビュー調査の分析の報告―

赤石 朋子 (城西病院)

キーワード:転職行動、退職意向、職業挑戦性、キャリア発達、キャリア目標

【目的】看護師の転職行動の経験の意味を探り、キャリア発達にどのような影響があるのか考察する。【方法】中小規模病院に2 年以上経験した勤務し退職の経験を持つ看護師を対象に半構造化インタビューによる面接調査を行った。データの音声記録から逐語を作成し、現象学的アプローチによる分析した。本研究は放送大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】対象は看護師A(2 年目20 歳前半)と看護師B(9 年目30 歳前半)の2 名である。退職意向のきっかけは、看護師Aは夜勤やリーダーが始まった頃であった。病棟スタッフの看護への意識を変えようと頑張ったが変化しなかったため、自分の可能性に期待し、新たな環境で自分の理想とする場に転職することを考えた。看護師B は5 年目ごろからいつかは退職することを考えていたが、異動後忙しい業務に占領され自分が大切にしていた看護活動ができなくなったことや新しいことへの吸収の限界を実感し、経験を活かし自分らしく働ける環境の模索のため転職することを考えた。転職行動を振り返りから、看護師A は自己の看護観と救急看護の共通点に気づき、自分の意志で行動している喜びを感じていた。看護師B は前職場と比較し、自分が思う以上に職場から評価されたことから、自己を肯定的に捉えられるようになり、主任を目指したいとキャリア目標を語っていた。【考察】看護師A と看護師B は職業アイデンティティの形成を経て、看護師としてどのように働きたいのか意思を明確する時期があった。しかし、職場での役割や環境の変化が仕事への困難感やコントロール感の難しさと捉え、負の情動が生じ、退職意向に繋がっていた。そして、看護師A は専門性の追求できる場を検討したこと、看護師B は異動によって看護師としての存在価値が揺らぐ体験をしたことが、きかっけとなり組織コミットメントよりも看護コミットメントが高まり、退職意向を高めていったと考える。退職意向を促進した要因として、若年であったこと、現職場の改善を図ることよりも転職することにより自己実現の可能性が高いと予測したことが考れる。看護師A と看護師B にとって、転職行動は自己と職業との結びつきを検討する経験であり、自分がどのように働きたいのか具体化・現実化していく行動であったと考える。このことから、転職行動はキャリア目標を明確していく機会であり、キャリア発達の一過程であったと考えられる。