第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター30群 医療安全②

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:渡部 節子

[ポスターY-30-4] 包括的暴力防止プログラム(CVPPP)研修後の8 つの原則に対する実態調査

―トレーナー、非トレーナーとの比較検証―

山口 球, 大井 延之, 北野 進, 金城 圭, 小林 勇樹, 鈴木 綾子, 河村 雄二, 郷 由里子 (松沢病院)

Keywords:包括的暴力防止プログラム、CVPPP、8 つの原則、実態調査

【目的】A 精神科病院は、2008 年から自病院においてCVPPP(包括的暴力防止プログラム)トレーナー養成研修(以下研修)を開始し、適宜トレーナーを対象にフォローアップ研修も実施している。トレーナーは、CVPPP の基本理念である「ケアとして真剣に当事者のことを助ける、Person centered にその人にかかわる」ことを理解した上で、日常の看護実践で活用する必要がある。A 病院のCVPPP の「8 つの原則」の理念、知識、技術に関して調査した結果、現状が明らかになったので報告する。【方法】2021 年7 月~ 2022年12 月、A 病院の看護職員を対象に、留め置き法による 無記名自記式質問紙調査を実施し、回答をもって研究への同意とみなした。設問内容は性別、年齢、精神科経験年数、現所属、トレーナー資格の有無。8 つの原則については、CVPPPのテキストからキーワードを抽出し、知識・技術に対する全22 項目について5 段階尺度の選択回答式とした。データ入力後はパスワード管理し、Mann-Whitney U 検定(有意水準 5%)を用いてデータを分析した。質問紙は研究指導者の指導を受けて作成し、日本こころの安全とケア学会理事会の許可を得た。【結果】質問紙は480 名に配布し、405 名から回答があり有効回答は390 名であった。トレーナーは122 名32%、非トレーナー268 名68% であった。8つの原則について、トレーナーと非トレーナー間の検定をした結果、トレーナーの方が得点が高く、有意差が認められたのは、1「助けに行くための包括的な技術」(P=0.008)、3「当事者は人」(P < 0.001)、4「ケアのための方法」(P=0.002)、6「あきらめるのではなく理想を考える」(P=0.003)、7「落ち着くことができるスキルの獲得」(P=0.004)の5 項目であった。有意差が認められなかったのは、2「当事者・スタッフが安心・安全になるためのもの」5「最も非拘束的な方法を取る」8「CVPPP は環境を良くする」の3 項目であった。【考察】原則3、6、7 の項目に有意差が認められたことから、トレーナーは当事者の人権を最大限に尊重して対応するために必要な、「Person-centered にその人と関わる」という基本理念や知識・技術を理解し、看護実践に活かされていることが示唆された。