第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター31群 せん妄への対応

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:中野 あけみ

[ポスターY-31-4] HCU の光環境調整によるせん妄予防への有効性

峯岸 美穂, 目黒 由紀, 小野寺 めぐみ, 小林 京美, 遠藤 裕香里 (竹田綜合病院)

キーワード:光環境、せん妄、HCU

【目的】HCU は、異常の早期発見のため処置や観察時以外はベッドサイドのカーテンを開けている。昼夜問わず頻回に聞こえる医療機器のアラーム音、観察や処置に伴う夜間照明などが概日リズムの乱れに繋がり、環境がせん妄発生要因の1つになっている。せん妄ケアとして高照度療法などあるが、日常的に実施しがたい。そこでHCU で可能な範囲の光調整が、せん妄予防に有効であるかを明らかにするため本研究に取り組んだ。【方法】HCU に緊急入院し、2 泊以上在室している患者を対象とした。対象患者を介入群と非介入群に分け、研究期間の前半2 ヶ月を非介入群、後半2 ヶ月を介入群とした。連日14 時と2 時に照度計で各部屋の入口で照度測定を行った。日中は両群とも各部屋と病棟フロアの電気を点灯し、さらに介入群は各ベッドのヘッドライトと天井のスポットライトを追加で点灯した。夜間は両群とも各部屋と病棟フロアの電気を消灯した。さらに介入群はスタッフステーション、トイレ前の手洗い場、病棟中央カウンター前を消灯した。患者対応などで必要時は一時的に点灯した。A 病院リエゾンチーム作成のせん妄アセスメントシートを用い、入室当日から転出まで1 日1 回14 時にせん妄評価をし、4 点以上をせん妄ありとして発生の差をχ2検定で分析した。倫理的配慮として対象患者もしくは家族へ研究の主旨、参加の自由、途中で取りやめても不利益は無いこと、個人が特定されないこと等を入室当日に説明した。所属施設の臨床倫理委員会で承認を得た。【結果】非介入群は48 名、介入群は42 名だった。両群とも外科と脳外科の患者が7 割を占めていた。非介入群の平均照度は14 時559.5 ± 270.6 ルクス、2 時6.1 ± 8.8 ルクスで、介入群は14 時615.7 ± 297.7 ルクス、2 時3.9 ± 5.6 ルクスとなった。自然光の影響から照度は各部屋ごとに差があった。せん妄発生率は、非介入群が52%、介入群が24%となった。χ2検定をした結果、p=0.006 で有意差ありという結果になった。【考察】HCU で可能な範囲の光調整によりせん妄発生率は低下した。せん妄は病態の安定、適切な薬剤使用、環境調整などで予防改善できる。その一つに概日リズムの調整があり、それらに関わるケアが光調整である。細やかに光調整することや、そのための看護師の関りがせん妄発生率の低下に影響があった可能性があると考える。