第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター31群 せん妄への対応

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:中野 あけみ

[ポスターY-31-5] 地域包括ケア病棟へ入院・転棟後にせん妄を発症した患者への看護

―臨床経験年数が10 年以上の看護師の成功体験から得られたこと―

小原 亜也, 長田 裕香 (公立能登総合病院)

Keywords:地域包括ケア病棟、せん妄、成功体験

【目的】公立A総合病院地域包括ケア病棟(以下B 病棟とする)へ入院・転棟後に患者がせん妄を発症した際に研究者が個別性のある関わり、冷静な判断や落ち着いて対応できていない等があった。先行研究では、「せん妄の予測・判断は経験から得られるものが多く、看護師臨床経験年数によって違いがある」と述べられている。そこで、臨床経験年数が10 年以上の中堅看護師の成功体験からの対応方法を明らかにしたいと考え、今回の研究に取り組んだ。【方法】研究デザインは実態調査研究とし、対象者はB 病棟に勤務する臨床経験年数が10 年以上の中堅看護師とした。データ収集方法は、せん妄患者のケア体験時に上手く対応できたケースや成功体験に関して、アンケートによる記述調査とした。データ分析方法は、項目別に内容を集計し、整理した。公立A 総合病院倫理審査会の承認を得て実施した。アンケート用紙は無記名とし、調査内容は本研究以外の目的では使用せず、匿名性を保持した上で発表、本研究終了後に速やかに破棄すると説明した。【結果】アンケート用紙は、対象15 名に配布し、14 名から回答が得られた。回収率は93.3% であり、有効回答率は100% であった。B 病棟の中堅看護師が行っているせん妄患者への対応方法として、落ち着くまで車椅子で一緒に行動する等の回答が15 名中6 名、しつこく関わりすぎると興奮させてしまうため少し距離を置く等の回答が15 名中4 名から得られた。話し方等については、ゆっくりと低めの声で落ち着いて話す・余計に不安を煽らないように声のトーンや速さに気をつけている・患者の興奮を助長させない言動を心がける・大声で対応したり、行動を制止することはしない等の回答が、15 名中6 名から得られた。看護師自身が話し方や落ち着いた対応を心がけ、患者の不安や興奮を増強させないように努めていた。【考察】B 病棟の中堅看護師は、せん妄患者に対して落ち着くまで車椅子で一緒に行動するなど、不安に寄り添う姿勢で向き合っていると考える。話し方等については、ゆっくりと低めの声で落ち着いて話す・患者の興奮を助長させない言動を心がけるなど、看護師の表情や声のトーンを工夫することで、せん妄患者をより混乱に陥らせないこと、症状を少しでも和らげることが可能であると考える。また、興奮時のせん妄患者に対しては、看護師自身も冷静に落ち着いて対応する等のケアに努めていると考える。