第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター33群 術後の機能障害への対応

2023年11月9日(木) 09:00 〜 10:00 ポスター会場 (G1-G4)

座長:松井 弘美

[ポスターY-33-2] 前立腺全摘除術(RALP)に携わる看護師の性機能障害への意識と援助調査からみえる行動変容ステージモデルの段階と看護師支援

宝田 啓悟1, 池田 千寿子1, 宮脇 木綿子1, 西村 美穂2, 近藤 真紀子3 (1.三豊総合病院, 2.香川大学医学部看護学科, 3.香川県立保健医療大学)

キーワード:RALP、性機能障害、行動変容モデル

【目的】前立腺癌に対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(RALP)では、勃起障害などの術後性機能障害が問題となるが、支援に関するマニュアルは整備されておらず、看護師個人の裁量に任されている。本研究の目的は、泌尿器病棟で働く看護師の、RALP 後の性機能障害に関する意識の高さと援助の実施状況との関連を明らかにし、行動変容モデルに即した看護師支援を検討することである。【方法】1) 研究デザイン:量的研究。2) 対象:A 病院の泌尿器病棟で働く看護師。3) データ収集方法:独自に作成した質問紙を用い、無記名自記入式調査を行った。質問紙は性機能障害に関する意識17 項目・援助18 項目とし、5 件法(当てはまる5 点~当てはまらない1 点)とする。4) 分析方法:①項目毎に、全対象の平均値を算出し、2 群に分ける(意識項目は平均値4.2点以上を「意識が高い」、援助項目は平均値4.0 点以上を「積極的な援助ができている」とする)。②意識の高低と積極的援助の実施の有無の関連から、行動変容ステージモデルのどの段階に当たるかを特定した。5) 倫理的配慮:研究に参加することで不利益を被ることがないことを口頭と文面で説明の上、著名にて研究参加者の同意を得た。【結果】1) 対象の概要:女性22 名。2) 性機能障害に対する看護師の意識と援助:病棟全体での意識項目は平均3.04 点、援助項目は平均1.8 点。意識の高低に関わらず「積極的な援助ができている」0 名。したがって、性機能障害に対する看護師の意識は低く、積極的な援助は行えておらず、行動変容ステージモデルでは「無関心期」に該当する。項目別では、「RALP によってなぜEDが起こるか理解している」の回答は48%と約半数がRALPの合併症であるED への理解が不足していた。「ED への理解やイメージができている」に対し出来ているとプラスに捉えている看護師は29%と少なかった。性機能障害への介入と比較し、排尿障害への介入を優先すべきと感じる看護師が約3 倍も多く、明確な差があった。【考察】RALP 後の性機能障害に対する援助が実施できていない要因を、知識不足・女性看護師が多い中でのセクシュアリティーへのイメージ・排尿障害と比べて優先度が低いことと考えた。また、意識と援助の関連性がなく、当該病棟の行動変容ステージは無関心期にあることから、情報提供とマニュアル導入が効果的介入と考える。