[ポスターY-33-4] 泌尿器科手術後の苦痛の実態
―尿道カテーテル留置に伴う膀胱刺激症状を伝える患者の思い―
Keywords:泌尿器科腰椎麻酔下手術、尿道カテーテル留置、膀胱刺激症状
【目的】A 病棟での泌尿器科手術後の患者は膀胱刺激症状をうまく表現できない、また伝えられない現状がある。術後の苦痛の実態を知ることで早期に対応ができ、早期の苦痛の軽減が図れるのではないかと感じた。患者はどのような苦痛や思いがあるのか、苦痛を伝えられた患者、伝えられなかった患者の思いの実態を明らかにする。【方法】対象患者は経尿道的手術を行い尿道カテーテルが3 日以上留置されている患者15 名。患者へ本研究は術後どのような苦痛や思いがあったのかアンケートに回答・投函してもらい、アンケートを基に詳細に聞き取りをすることの説明をした。同意を得た患者に術後3 病日までにアンケートの回答を依頼した。退院までに、研究者がアンケートの項目に沿ってプライバシーに配慮した環境で15 分程度の聞き取りを行った。分析方法はアンケートの単純集計と、聞き取り内容を類似性で分類・分析した。研究に協力するか否かは対象者の自由意思により決定され、研究に不参加があっても対象者が不利益を被らないことを説明した。なお所属機関の臨床倫理委員会の承認を得た。【結果】アンケートの回収、聞き取りは13 名で回収率は86%、全員が男性で70 歳代以上が9 名であった。術後に確認された症状は「尿意による不快感」が7 名(53%)、「尿道カテーテルの違和感」が5 名(38%)、「羞恥心」が4 名(30%)、「傷の痛み」は3 名(23%)であった。苦痛を伝えられた患者は11 名(83%)であり、理由として「術前に尿意や違和感を薬で対応できると分かっていた」、「看護師から痛みや苦痛の有無の確認があったから」であった。苦痛を伝えられなかった2 名(17%)は、「苦痛の原因がわからずにどう訴えてよいのか分からなかった」、「痛み止めは痛い時にしか使えないと思った。( 膀胱刺激症状を) 看護師が対応してくれるとは思わなかった」という理由であった。【考察】術後は膀胱刺激症状を感じる患者が多い。思いを伝えられた患者は、術後の起こり得る症状と対応策を理解していた。伝えられなかった患者は、痛みと異なること、経験したことのない症状だったことからうまく伝えられなかった。膀胱刺激症状に対する鎮痛剤の使用に関して患者と医療者の認識の違いがあり、鎮痛剤が膀胱刺激症状緩和に効果的であることも含め、患者の理解度にあわせた術前からの説明が早期の苦痛緩和につながる。