第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター35群 創傷ケア②

2023年11月9日(木) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:小田 慈

[ポスターY-35-3] 褥瘡予防対策と発生時の対応

―3 点の取り組みによる意識・行動の変化を明らかにする―

荻野 紗絵里, 安東 裕子, 山口 由貴 (富士市立中央病院)

キーワード:褥瘡、褥瘡対策、意識変化

【目的】褥瘡や皮膚トラブル発生時に適切な対応ができる事、褥瘡予防に対する意識が向上する事を目的とした1. 処置ワゴンの設置、2. 褥瘡ケア表の作成、3. 褥瘡ケアのポイントの継続的な呼びかけという3 点の取り組みを行った。これらの取り組みによりどのような意識や行動の変化があったのかを明らかにする。【方法】A 病院B 病棟の同意の得られた4 から9 年の経験のある看護師4 名を対象に半構成的面接を行った。面接内容から逐語録を作成しコード化後、カテゴリーを生成した。対象者に研究の目的・方法、参加や中断は自由であること、協力が得られなくても不利益が生じる事はないこと、プライバシーの保護について説明し、文章による同意を得た。【結果】A 氏・B 氏は他科経験者で、C 氏・D 氏はB 病棟のみで勤務している。看護師の意識・行動の変化として54 コード、26 サブカテゴリー、6 カテゴリーが導き出された。「処置ワゴンがあることで処置がしっかりできるようになった」「ケア表を作成したことで処置の有無、褥瘡や皮膚トラブルのある部位がわかるようになり情報共有ができるようになった」など《ケアへの意識の変化》があった。「処置ワゴンにより適切な処置が行える安心感がある」「皮膚トラブルがある時は相談して対応できるようになった」など《発赤・皮膚トラブル発見時の対応の変化》があった。3 点の介入から「病棟全体として予防的な意識を持ち皮膚の観察を行うことが習慣化された」「褥瘡対策に対する意識が高まった」など《褥瘡予防対策に関する変化》があった。また介入により褥瘡対策はやらなければならないことという思いとなり使命感が生まれた。「褥瘡評価の徹底が図られた」から《褥瘡対策の変化》があり、患者体験からは「患者の苦痛に寄り添う意識が芽生えた」など《より良い褥瘡ケアへのモチベーションの変化》が挙がった。その他《現在の課題の明確化と対策の変化》があった。【考察】3 点の取り組みにより褥瘡ケアに関する基本的な知識が定着したこと、ワゴンの整備により発赤・皮膚トラブル発見時すぐに対応できるという行動の変化、さらに統一・継続したケアの必要性を個人だけでなく、病棟全体で認識できることに繋がるものであった。その結果、病棟全体として褥瘡対策に対するモチベーションが向上し、さらに知識や技術を向上させより良いケアをしたいという文化の醸成に繋がったと考えられる。