[ポスターY-36-1] 嚥下評価プロトコル導入前後のICU 看護師の嚥下評価に対する実態調査
Keywords:ICU関連嚥下障害、嚥下評価、プロトコル
【目的】嚥下評価プロトコル(以下プロトコル)導入前後のICU 看護師の嚥下評価に対する実態を明らかにする。なお、プロトコルとは、絶飲食から飲水・食事を経口摂取開始時期の嚥下評価を示す。【方法】A 病院ICU 看護師19 名を対象に経験年数、嚥下障害患者を受け持った経験等属性を6 問、嚥下障害の原因等の知識を3 問(4 件法)、嚥下評価に関する認識や行動を11 問(4 件法)で独自の無記名自記式質問紙にてプロトコル導入前と導入2 ヶ月後に調査を実施した。分析方法は記述統計量を算出し対応のあるt 検定を行った。なお、対象者には参加や中断は自由であり、協力が得られなくても不利益は生じないこと、プライバシーの保護について説明し、回答をもって同意を得たこととした。【結果】回収数19(回収率100%)全て有効であった。看護師経験年数平均16.2(SD11.7)年、嚥下障害患者を受け持ったことのある看護師は16 名(84%)であった。ICU 関連嚥下障害に関連した知識得点では、原因についてプロトコル導入前5.6(SD1.2)点、導入後6.5(SD0.8)点で有意に得点が上昇した(t= 3.1206、p = 0.006)。弊害について導入前4.4(SD0.9)点、導入後4.6(SD0.8)点で有意差はなかった(t = 1.07、p =ns)。反復唾液嚥下テスト(以下RSST)の手順について導入前3.1(SD1.0)点、導入後3.7(SD3.7)点で有意に上昇した(t = 2.4856、p = 0.023)。RSST の評価をする自信について導入前3.0(SD1.0)点、導入後3.6(SD0.5)点で有意に上昇した(t = 2.3661、p = 0.030)。嚥下評価への不安について導入前3.1(SD0.7)点、導入後2.3(SD0.8)点と有意に減少した(t = 2.7931、p = 0.037)。【考察】プロトコル導入前は看護師経験年数に関係なく、嚥下障害の原因や弊害を十分に理解している看護師は少なかった。また、看護師はRSSTの手順や評価への不安を抱えていることが明確になった。今回プロトコルを導入したことで、嚥下障害の原因や弊害に対する知識の向上、RSST の知識や手技の習得ができ、適切な嚥下評価に繋がった。更に、プロトコルや嚥下評価の勉強会を実施したことで統一した嚥下評価ができ、看護師の不安の軽減に繋がっていることが明らかとなった。