第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター36群 栄養摂取・嚥下機能の維持向上

Thu. Nov 9, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:横川 敬子

[ポスターY-36-6] 脳神経疾患で経管栄養中の患者に対する口腔ケアプロトコル導入の効果

―口腔衛生状態をOHAT-J で比較して―

田毎 あゆみ, 木村 由美子, 吉井 美香 (徳島県立中央病院)

Keywords:脳神経疾患、経管栄養、口腔ケアプロトコル、OHAT-J

【目的】脳神経疾患では意識障害や運動麻痺などにより自力で口腔ケアをできない患者が多い。A 病院は急性期病院のため入退院や手術の慌ただしさに追われ、口腔ケアに十分な時間を費やせず後回しにされがちな現状があり、ケアの統一はできておらず看護師個人に委ねられていた。そこでB 病棟独自に作成した口腔ケアプロトコルを導入し、ケアの統一を図ることで口腔ケアの効果を明らかにしたいと考えた。【方法】自力で口腔ケアができない経管栄養中の脳神経疾患患者を対象とした。広く使用されている口腔ケアプロトコルを参考に歯科医師とともに作成し、口腔ケアの方法も決定した。気管挿管・気管切開の有無、経口摂取の有無、ADL 介助の有無でケアの方法や回数を決定する。経管栄養中の患者には基本ケアを2 回実施し、OHAT-J のいずれかの項目で「1」があれば粘膜ケアを2 回、「2」があれば3 回追加する。基本ケアとして粘膜の清掃やブラッシングと保湿、粘膜ケアとして粘膜の清掃と保湿を行う。プロトコルの内容やOHAT-J の評価方法、口腔ケアの方法は摂食・嚥下障害看護認定看護師により実演と動画を用いて指導し、手技の統一を図った。入院・転入時にOHAT-J で評価し、プロトコルに沿ってケアプランを作成した。次回評価日を患者毎に設定し、1 週間毎に再評価とケアプランの修正を行い、退院時に最終評価しスコアを比較した。スコアの変化についてはWilcoxon 検定を用いて差異をみた。本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得た後、ホームページ上で患者に臨床研究の包括同意を得て開始した。【結果】対象者は27 名であった。OHAT-J の合計スコアと、個々の項目では歯肉・粘膜、口腔清掃の項目が初回評価時よりも最終評価時で有意にスコアが低下していた。口唇、舌、唾液、残存歯、義歯、歯痛のスコアも最終評価時の平均スコアは低下傾向であったが、有意差はみられなかった。【考察】OHAT-J のスコアから歯肉・粘膜と口腔清掃、合計スコアで有意差を認めた。口腔ケアプロトコルを導入することで、ケアが統一でき個人差を小さくすることに成功し、B 病棟独自に作成した口腔ケアプロトコルは、脳神経疾患で経管栄養中の患者の口腔衛生状態を改善するのに有効であったと考えられる。急性期病院での口腔ケアが回復期にもたらす効果は大きく、口腔ケアプロトコルを見直しながら継続していく必要がある。