[ポスターY-38-1] 看護における「共に考える」の概念分析
Keywords:共に考える、ともに考える、一緒に考える、看護、概念分析
【目的】看護実践において様々な機会で、看護における「共に考える」は用いられているが、明確に規定されている定義は見当たらず、その意味するところは抽象的で曖昧であるといえる。本研究の目的は、看護における「共に考える」の概念、定義を明らかにし、定義を踏まえた上で看護への示唆を得ることである。【方法】わが国における「共に考える」という概念がどのように認識され,活用されているかを分析するため和文献のみとした。1983 年から2023 年までに発表された研究論文を対象に、医学中央雑誌 Web 版をデータベースとして「共に考える」or「ともに考える」or「一緒に考える」and「看護」and「原著論文」and「抄録あり」をキーワードに検索した。学生や医療関係者を対象にしたものは除外し、ハンドリサーチした論文を含め、入手可能な研究論文109 件を分析対象とした。Walker & Avant の手法を参考に概念分析を行った。対象文献を精読し、看護における「共に考える」の概念の属性・先行用件・帰結に該当する箇所を抽出した。それぞれについてカテゴリー化し、概念を定義した。倫理的配慮は、公表された文献を対象とし、著作権に配慮した。【結果】属性は、「対象者中心思考をもつ」「対象者と対話をする」「対象者の理解を深める」「意図的な看護実践を行う」「最後まで共にする」の5 つが抽出され、先行要件は、「対象者に関心を寄せる」「信頼関係」「看護師の専門的な実践知」「対象者の意思」「問いの共有」であった。帰結は、「対象者の自己肯定感・主体性の促進」「関係性の変化」「新たなケアの創造」が抽出された。【考察】看護における「共に考える」は、「対象者中心思考の対話を通して対象への理解を深め、ケアを創造するプロセスを最後まで共にする意図的な看護実践」と定義した。その結果、対象者の自己肯定感・主体性の促進や対象者との関係性の変化につながり、新たなケアの創造に至る。看護師は対象者に関心を寄せ、対話ができる関係性を基盤として、問いを共有し、対象者の意思をくみ取りながら「共に考える」看護を行っていることが明らかになった。さらに問いに対する専門的な知識をもち必要な情報を提供できる実践力、患者を理解する能力など専門的な実践知をもつことが重要であると考えられた。