第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター40群 安全・安楽への支援①

Thu. Nov 9, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:杉本 環

[ポスターY-40-2] 入院患児が酸素カヌラ・酸素マスク装着継続のための効果的介入方法の探索

―臨床経験年数別の視点から―

安田 瑞穂, 石川 雪乃, 船寄 真代 (奈良県総合医療センター)

Keywords:酸素投与、小児患者、経験年数

【目的】小児科病棟で勤務する看護師が、1 ~ 4 歳児に対する酸素投与の工夫について、看護実践の支援の示唆を得るため看護師経験年数別に明らかにする。【方法】酸素カヌラやマスクを装着できた成功体験について、小児科病の棟経験年数1・2 年目看護師3 名、3 ~ 6 年目看護師3 名、7 年目以上の看護師3 名に対して半構成的面接を実施した。内容は逐語録にし、抽出したコードから類似するものをカテゴリー化し質的に分析した。なお本研究は研施設の倫理審査で承認を得ている。【結果】インタビューから、得られたコード数は216 で、カテゴリーはコード数の多い順から《装着の工夫》《カヌラ・マスク装着の困難さ》《カヌラ・マスクの選択理由》《児への対応》《付添者への対応》《経験値》《吹き付けの選択理由》《児の受入れ方》《無力感》の9 項目であった。【考察】1・2年目看護師のコード数の多いカテゴリーは《カヌラ・マスク装着の困難さ》《装着の工夫》であった。経験が少ないことから酸素投与に対する工夫内容も限られていた。また、《児への対応》のコード数も他年代よりも多く抽出されており、酸素投与に対する成功体験が少ないことで、酸素投与の理解ができない児に対して説明を繰り返す様子が語られていた。3 ~ 6 年目看護師のコード数の多いカテゴリーは《付添者への対応》《装着の工夫》《経験値》であり、積上げた経験から児への説明だけではなく、付添者の協力を得ながら対応していることが分かる。児との関わりの中で付添者とのコミュニケーションを図ることは必須で、実体験から学び、看護師としてのコミュニケーション能力が向上している過程であると考える。7 年目以上の看護師のコード数の多いカテゴリーは《装着の工夫》《経験値》であった。他年代に比べて《装着の工夫》についてのコード数が突出していた。実体験に基づき、児の発達段階を考慮した上で、苦痛なく酸素投与できる方法を考え、最大限に工夫し行動していることが理解できる。今西、阿南は「子どもが処置から回復するには『安心』が必要であり、『安心』は『回復意欲の増進』につながり、回復を支援することが示唆された」と述べている。看護師の対応が児や家族に与える影響は大きく、安心感を与えられる関りを持つことで児の回復意欲の増進に繋がるといえる。経験年数によって看護実践の支援内容が示唆されたため、スタッフ教育に活かしていきたいと考える。