第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

ポスター

ポスター40群 安全・安楽への支援①

Thu. Nov 9, 2023 2:30 PM - 3:30 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:杉本 環

[ポスターY-40-4] ポジショニングによる筋緊張と拘縮緩和の効果

―寝たきり患者のポジショニングへの取り組み―

鈴木 弘美, 藤本 実枝 (浦安高柳病院)

Keywords:ポジショニング、拘縮、筋緊張

【目的】体位変換枕の選択と改善したポジショニングを行うことで、拘縮の進行を緩徐にできるのかを明らかにする。【方法】期間:2022 年4 月~ 2022 年12 月、場所:医療療養型のA 病院、対象:入院患者7 名。脳卒中、認知症、難病の患者で寝たきり期間1 年以上、研究方法:現行の問題点を抽出、体位変換枕の選定、ポジショニングを変更。肩から背部、臀部を長さ250cm のロンボRM5 で支え、膝下に残りを折りたたむように挿入。頚部の隙間にネックピローを入れたX パターン。肩から背部、臀部を長さ220cm のロンボスネーククッションで支え、残りを股に挟み、上肢で抱え込むY パターン。毎月股関節角度の測定、ポジショニング介入前と介入後の関節可動域を比較、拘縮の進行を評価した。倫理上の配慮:本研究をA 病院の倫理委員会へ申請、了承を得た。研究対象患者7 名は、疾患により研究について理解できないため、家族に参加は自由意思であり不参加でも不利益を得ない、個人情報保護を厳守する旨を看護研究同意書で説明、書面にて同意を得た。【結果】B 氏、C 氏は、X パターン、D 氏、E 氏はY パターンのポジショニングを行った。B氏は、脊柱の変形によるねじれ、筋緊張が高い状態であった。3 か月間で股関節の緊張が緩和し拘縮は左外旋が-5 度から35 度に改善した。C 氏は、頸部が前屈し下肢も浮いた状態であった。3 か月間で股関節の拘縮は両外転が各10 度進行したが、頸部前屈は改善した。D 氏は、脊柱のゆがみが生じ、左下肢の内転拘縮が強かった。1 か月で拘縮は右内転が20度に進行し、2 か月後15 度に緩和した。E 氏は、体幹にねじれが生じ下肢の筋緊張が高まっていたが、3 か月間で左外転が15 度、右外転が10 度、左右外旋が各25 度拡大し、左右内転が各5 度、内旋は左10 度・右5 度改善した。【考察】患者の拘縮状態に合わせてX とY パターンのポジショニングを行い、背部の接地面積を増やし、股関節を中間位に保つことで、4 名中2 名が股関節の可動域が改善した。1 名は、左股関節内転筋の緊張が緩和され、拘縮の進行を緩徐にすることができた。残りの1 名は、股関節の拘縮は進行した。拘縮は一度生じると改善は困難だが、患者個々に適した体位変換枕を選択し、ポジショニングを行うことで、3 か月後には程度によっては拘縮の進行を緩徐にできること、さらに拘縮を改善する可能性が見いだされた。