第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター42群 穏やかに死を迎えることへの支援

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:山谷 敦子

[ポスターY-42-1] A 病院看護師のACP 推進に向けて

―「もしバナゲームTM」を活用して―

大室 亜弓, 蘇武 友美, 加藤 悦子 (山形県立中央病院)

Keywords:ACP 支援、もしバナゲームTM、価値観

【目的】「もしバナゲームTM」(以下ゲーム)を通して看護師が人生の最終段階の疑似体験を行い、それぞれの思いや価値観を振り返ることでACP を実践するための課題を明らかにする。【方法】A 病院に勤務する看護師を対象とし、依頼文にて文章と口頭で目的、方法を説明し参加者を募った。協力が得られない場合でも不利益が被らない旨を説明。ゲーム終了後に患者の立場、看護師の立場、看護実践の振り返り、患者の立場となり受けたいACP 支援について39 項目を4 段階評価による無記名自記式質問用紙にて調査を実施。単純集計、自由記載は類似するもので分類し分析した。【結果】ゲームは13 回実施、参加人数43 人、アンケート回収率100% であった。患者の立場での思いや価値観で「思う」が最も高い項目は「互いの価値観の相違を感じられた」71.4%、次いで「他者の価値観を受容できた」69.0% であった。看護師として感じたことで「思う」が最も高い項目は「対話の必要性」81.0%、次いで「価値観を知る大切さ」76.2% であった。看護実践の振り返りで「行っている」が最も高い項目は「話を共感する」66.7%、次いで「話を傾聴する」59.5%、最も低い項目は「病状安定時のACP 支援」9.5%、次いで「代理者へ意向伝達の確認」16.7% であった。患者の立場となり受けたいACP 支援で「思う」が最も高い項目は「情報提供」88.1%、次いで「価値観を尋ねる」78.6% であった。【考察】人生の最終段階の疑似体験を通し、自分ごととして思いや価値観を振り返り、互いの価値観や相違を受容できたと考えられる。また、患者と相互理解を深めるには患者の思いや価値観を受容し、これまでの生き方を振り返る機会や対話のプロセスが必要と考えられる。看護実践の振り返りでは、基本的なコミュニケーションスキルである共感や傾聴の実践割合が高いが、意図的な介入が必要な代理意思決定者への意向伝達の確認や病状安定時のACP 支援の実践割合は低い。これらは、在院日数短縮化の中で病状安定時は自宅療養が多いため関わる機会が限られ、「もしもの時」を話す難しさが結果に表れたと考えた。患者や代理意思決定者は様々な局面で意向が揺れ動くため、その都度意向の確認が必要である。外来・入院・在宅で得た情報を医療者間で共有し継続支援が行えるように、病状安定時のACP 支援を実践していくことが課題である。