第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター42群 穏やかに死を迎えることへの支援

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:山谷 敦子

[ポスターY-42-2] 婦人科悪性腫瘍患者の初期治療におけるアドバンス・ケア・プランニングに関する検討

河井 祐水, 篠原 啓子, 真鍋 理絵, 加根 千賀子 (徳島大学病院)

Keywords:婦人科悪性腫瘍、初期治療、ACP

【目的】婦人科悪性腫瘍と告知を受け、初期治療を経験している患者が改めて自分の人生について考えたことや考えの変化を明らかにしアドバンス・ケア・プランニング(ACP)において患者が望む看護支援を検討する。【方法】2021 年12月~ 2022 年7 月にA 病院で婦人科悪性腫瘍と告知を受け、初期治療を経験し本研究に同意が得られた患者を対象に半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。対象者に文書と口頭で研究目的や方法、研究参加は自由であること、いつでも撤回でき、参加しない場合も不利益を被ることはないこと、プライバシーの遵守等について説明し同意を得た。【結果】対象患者は6 人で平均年齢は48.7 ± 6.5 歳、疾患は、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんであった。初期治療を経験している患者が改めて自分の人生について具体的に考えたことや考えの変化として3 つのカテゴリーが抽出された。患者は《寿命はわからないが、家族のことも考え自分らしく生きられる最期にしたい》と自分への介護に対する家族の負担や病気になる前は他人事であった死についても自分の寿命と捉えて延命治療も想定し、家族の受け入れについても考えていた。また≪先のことは深く考えていないが、もしもの時のことを家族と共有する必要がある》と、もしもの時をじっくり考えたことがなかったが、がんの罹患が人生を振り返るきっかけとなり再発なども視野に入れて家族との話し合いの必要性など今後の備えを考えていた。《健康ありきの自分ががんになった今、自分ができることを優先させて取り組む》では、やりたいことを先送りにせずに生きることや仕事や貯蓄等の終活を自分なりにイメージしていた。【考察】本研究の対象者は《寿命はわからないが、家族のことも考え自分らしく生きられる最期にしたい》のカテゴリーが多く抽出された。特に初期治療の段階にあるがん患者では、死はまだ先のことであると捉えてはいるが、病気と向き合い、社会での共存を自分なりに模索し前向きに考えていることが分かった。ACP における看護支援は、患者個々の準備状態をアセスメントし、終末期についても気軽に話せる機会を意識的につくることが重要である。また、段階的に最期のあり方についても医療者と患者、家族が共有し、患者の気持ちや希望を引き出し、前向きな気持ちで闘病できるよう支援を行っていく必要がある。