第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター42群 穏やかに死を迎えることへの支援

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:山谷 敦子

[ポスターY-42-3] A 病院外来化学療法室に通院中の再発・転移したがん患者へ苦痛のスクリーニングを通して行った看護支援

村田 美雪1, 矢幡 彌奈1, 大野 夏稀2 (1.大分大学医学部附属病院, 2.大分大学医学部看護学科)

Keywords:外来化学療法、再発・転移、苦痛のスクリーニング、看護支援

【目的】先行研究で、再発・転移したがん患者は、疼痛や違和感、再発・転移告知後の受け入れがたい気持ちの辛さとそれを共有できる相手がいないなどの身体的・精神的・社会的苦痛を持ちつつも、状況を受け止め新しい治療への期待や意欲、今後の生活での望みを持っていることが分かった。今回、外来化学療法室に通院中の再発・転移したがん患者に対し、苦痛のスクリーニングを通して看護師がどのような支援を行っているか明らかにする。【方法】2020 年7 月~ 2021 年3月にA 病院外来化学療法室に通院中で、再発・転移のため治療内容が変更され苦痛のスクリーニングシートの回答が得られた患者65 名との対話に関する看護記録を対象に、看護支援を表す内容をデータとして抽出した。分析方法は、抽出した内容を意味のあるまとまりで要約し、コード・サブカテゴリー・カテゴリー化した。分析の過程は研究者間で検討を行った。研究対象者にはオプトアウトを公開し、データは個人が特定されないよう符号化した。【結果】看護師の支援は31 サブカテゴリー、9 カテゴリーが抽出された。サブカテゴリーを<>、カテゴリーを『』で示す。身体症状への支援は<有害事象の悪化予防のケアを行う>などの『疾患や治療による身体症状の把握と対処の指導』を行っていた。また『病状や今後の治療に対する思いへの共感』や『治療を継続する上で、心理的支えになるものの把握』による精神的支援を行っていた。他に、『情緒的・情報的・手段的支援の内容と支援者の把握』、『就労や家庭での役割に関する情報収集』の社会的支援に加え、『家族のストレス緩和』を行い、必要時『がん相談支援センター、MSW、他部門の看護師、主治医との連携』を図っていた。<病状や治療に対する受け止め方を把握する>、<病状や治療の経過を誰と共有しているか確認する>などの『今回の治療選択に至った経緯や思いの把握』や『治療に対する理解促進のための支援』という治療選択に関する支援を行っていた。【考察】治療変更の時期に苦痛のスクリーニングを行うことで、疾患や治療による身体的苦痛の緩和とともに、再発・転移によって生じた精神的苦痛への支援に繋がっていた。患者が治療と両立してきた生活を維持するために必要な情報収集や、患者の期待や希望の把握も行うことで治療選択に関する意思決定支援にも繋がっていたと考える。