第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター42群 穏やかに死を迎えることへの支援

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:山谷 敦子

[ポスターY-42-5] A 有床診療所の病棟における終末期がん患者の看護実践

川野 典子, 松本 美奈, 郡 美代子 (手稲家庭医療クリニック)

キーワード:有床診療所、終末期がん患者、看護実践、看取り

【目的】A 有床診療所は、外来・訪問診療・病棟の機能を併せ持ち2009 年10 月に開設13 年が経過した。病棟は、“ 第2の自宅のように過ごせるケア” をコンセプトとしており、地域から一定の評価を得ている。患者層は主に終末期がんで、最期を過ごす場として入院を希望される方が多く、開設以来、毎年約120 人の患者を看取ってきた。先行研究では、有床診療所のがん終末期がん患者の看護実践について明らかにしているものはない。そこで本研究は、在宅における終末期がん患者に関わる看護職のケアの一助とするために、長年にわたり地域に根付いたA 有床診療所の病棟看護師の終末期がん患者の看護実践を報告することを目的とした。【方法】研究期間は、2022 年5 月1 日から7 月31 日。対象は、A 有床診療所の病棟看護師15 名で、A 有床診療所の病棟経験年数は1 年から13 年(平均5.1 年)。データ収集は、A 有床診療所の病棟看護師15 名が受け持っていた患者の看護計画と経過記録から、看護実践内容を抽出した。抽出した看護実践内容はケアの類似性で分類し、分類ごとにネーミングした。ネーミングした看護実践は“peaceful end of life” 理論の構成概念と照合し、看護実践の根拠とした。【結果】A 有床診療所の病棟の看護師が実践している“ 終末期がん患者の看護実践”は、「患者が自分の望む過ごし方を意思表示・決定・実現できるケア」「苦痛な症状(疼痛・呼吸困難・嘔気・腹部膨満感・せん妄・倦怠感・その他)が緩和されるケア」「気がかりが軽くなるケア」「自律・尊厳が守られつつ安全な生活をおくることができるケア」「家族が患者の変化を認識できるケア」「合併症による苦痛を予防するケア」「家族の心理的負担を軽減するケア」の7つのケアに分類された。7つのケアは“peaceful end of life” 理論の構成概念が内包されていた。【考察】導き出された7つのケアは、“peaceful end of life” 理論の構成概念が内包されていたことから、人生の最期をサポートするためのケアといえる。A 有床診療所の病棟における終末期がん患者の看護実践は、A 有床診療所の病棟コンセプトと実績を踏まえると、在宅における終末期がん患者に関わる看護職に活用性があるのではないかと考える。