第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター43群 看護職の心の働きとその対処①

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:勝山 貴美子

[ポスターY-43-1] 急激に呼吸症状が悪化した神経難病患者の人工呼吸器装着に関する意思決定支援で看護師が感じた困難さの様相

伊藤 久美子, 佐藤 理奈, 石塚 巴菜 (東京都立神経病院)

Keywords:神経難病、人工呼吸器、意思決定、看護師

【目的】急激な呼吸症状悪化で人工呼吸器装着に関し意思決定を迫られた神経難病患者と家族に対し、看護師が感じている困難さとその様相を調査する。【方法】1 対象:急激な呼吸症状悪化時に患者家族に対応し、本研究に同意したA 病院急性期病棟看護師4 名。2 期間:2022 年7 月~ 2023 年2 月。3 方法内容:質的帰納的研究。質的研究者のスーパーバイズを受け、対象者へ半構造化面接を実施し、インタビューの中で語られた困難さについて逐語録を作成。要約したコードからサブカテゴリーとカテゴリーをまとめた。4 用語定義 1) 困難さ:急激な呼吸症状悪化時の意思決定支援で感じた難しさ。2) 急激:2 ~ 3 日以内。5 倫理的配慮:不参加や辞退で不利益なく、個人情報遵守を説明し、対象者へ署名で同意を得た。心身的負担に注意し、A 病院倫理委員会の承認を得た。【結果】カテゴリー分析の結果、コード29、サブカテゴリー27、カテゴリー7 項目( 以下、サブカテゴリーを〈 〉、カテゴリーを『 』と示す) を抽出した。1 分類:『困惑』は〈意思決定の経緯がわからない〉〈キーパーソンと親族で意思の相違がある〉、『懸念』は〈患者の判断能力の程度がわからない〉場面で表出された。『心配』は〈患者の希望に沿えているか不明確である〉、『当惑』は〈処置直前に患者が拒否をした〉ため表出された。『焦燥』は〈信頼関係を築く時間の猶予がない〉、『疑念』は〈患者の意思が優先されていない〉、『葛藤』は〈患者の意思を尊重したい気持ちと患者を助けたい気持ちがある〉などの場面から表出された。2 関係性: 抽出されたサブカテゴリーとカテゴリーの関係性を検討した結果〔急激な呼吸症状悪化の要素が強く影響しているもの〕と〔神経難病の要素が強く影響しているもの〕、〔2つの要素が影響しているもの〕に分類された。【考察】1 急激に呼吸症状が悪化した神経難病患者への意思決定支援で看護師が感じる困難さとして『困惑』『懸念』『心配』『当惑』『焦燥』『疑念』『葛藤』が抽出された。2 神経難病患者の人工呼吸器装着に関する意思決定に関わった看護師は『困惑』『懸念』を多く感じる。『当惑』『焦燥』『心配』は、急激な呼吸症状悪化という急性期に表出されやすく、『疑念』『葛藤』は、急激に呼吸症状が悪化した神経難病患者の意思決定場面で生まれた特有の困難さである。