第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター44群 看護職の心の働きとその対処②

2023年11月9日(木) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:勝山 貴美子

[ポスターY-44-6] 高度救命救急センター救急外来に異動になった看護師が一年間で抱える困難

阿部 淳子, 中村 祥英 (静岡県立総合病院)

キーワード:高度救命救急センター救急外来、異動者、困難

【目的】高度救命救急センター救急外来(以下部署)に異動した看護師が一年間で抱える困難を明らかにし異動者への支援に対しての基礎資料とする。【方法】研究実施施設の高度救命救急センター救急外来に院内異動もしくは他院から新規採用された看護師に、研究者独自が作成したインタビューガイドを用いて半構成的面接を実施。面接で得られたデータから逐語録を作成し、質的帰納的分析を行った。研究の対象者には、目的、個人情報の保護、自由意思による研究参加、結果の公表等について説明し同意を得た。研究実施施設の臨床研究倫理審査委員会の承認を得て行った。【結果】研究参加者は6 名で平均看護師経験年数は10.8 年であった。困難について131 のコードから30 のサブカテゴリー、12 のカテゴリーに分類された。生じていた12 の困難のカテゴリーは、1. 救急外来という場がどんなところか分からないという思い2. 知識・経験の無さ3. 自己学習を行う4. 限られた患者の事前情報から看護ケアを見出すこと5. 電話での患者家族の対応6.複数の軽傷患者を受け持つ際の多重業務に対応するため7. 生命危機にある患者に対応する際8. 医療用ヘリコプターなどの受け入れを担当すること9. 熱傷・中毒患者に対応すること10. 二人夜勤を開始すること11. 動揺している家族対応の際12. 職場における人間関係であった。【考察】一年間で抱える困難の内容は、異動初期は今まで培ってきた経験や自己の知識や技術が、救急外来という特殊な環境下で通用しないのではないかという初心者のような思いに関連するものであった。また、次第に担当する患者の重症度も上がっていくことに加え、病棟とは違い、症状から疾患をアセスメントし、必要な看護を見出すなどの救急外来の特殊性に関連した際限のない自己学習や特殊環境下での様々な家族への対応などであった。異動者が一年間で抱える困難は、未経験なことも多い特殊な環境で段階的に変化するものと、年間を通してのものがあり、それに合わせた指導教育と精神的サポートを含む支援体制が必要である。