第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター46群 看護職の心の働きとその対処④

Thu. Nov 9, 2023 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (G1-G4)

座長:北田 なみ紀

[ポスターY-46-1] 中途採用された看護師が抱える困難感の実態調査

鈴木 陽子, 蝦名 聖佳, 中井 由美子 (青森県立中央病院)

Keywords:中途採用、総合病院、転職、再就職

【目的】総合病院に中途採用された看護師(以下中途採用者)が抱える就業継続の困難感を明らかにする。【方法】無記名自記式質問紙による量的記述研究である。研究期間は令和3年9 ~ 10 月、対象はA 病院の2016 ~ 2020 年の中途採用者である。調査内容は、基本属性、前勤務先の勤務月数、転職理由、転職後の診療科の変更(以下診療科変更)及び勤務継続意志(以下継続意志)の有無、転職後の困難感またはやりがいに関する自作の質問紙である。困難感とやりがいの項目は『労働環境』(18 項目)、『キャリアプラン・やりがい』(4項目)、『人間関係』(5 項目)、『転職後の部署』(17 項目)の4 分野(「1. 全くそう思わない」~「6. 非常にそう思う」の6件法)とした。分析は、記述統計及び診療科変更・継続意志の有無を独立変数、転職後の困難感を従属変数としMann-Whitney-U 検定を行った。質問紙は無記名記載とし個人を特定できるデータは集計・記載しないことを文書で説明し、データは施錠できる場所で管理した。【結果】対象者55 名の内、31 名から有効回答を得た(有効回答率56.4%)。対象者の84.8%は女性であり、前勤務先の平均勤務月数は72.6(±59.7)月、A 病院勤務平均月42.4(± 22.4)であった。転職理由は、「高度な医療・看護を学べる」12 名(36.4%)と最も高く、次いで「立地条件」8 名(24.2%)、「給与」6 名(18.2%)であった。困難感の平均値は、『転職後の部署』の「患者・家族との関わりが十分とれない」が5.1(± 1.0)と最も高かった。診療科の配置変更「あり」は21 名、「なし」は11 名、配置変更有無と困難感では、『キャリアプラン・やりがい』の「自分の能力を高める機会が多い」が「有4.5、無3.3(p= 0.018)」、『転職後の部署』の「他の看護師のレベルが高くついていけない」が「有3.7、無2.8(p = 0.013)」、「一から覚え直すことが多い」が「有4.5、無4.0(p = 0.024)」といずれも有意水準5%で有意差を認めた。【考察】先行研究では中途採用者が異なる専門領域に再就職した場合、一時的に新人レベルに近い状況になるとの報告があり、本研究においても配置変更有り群は困難感が高かった。中途採用者が求める教育方法や就業への価値観といったニーズを把握した支援体制を検討する必要がある。