第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

Presentation information

ポスター

ポスター47群 基礎教育

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:永谷 智恵

[ポスターY-47-1] 看護学生の看護技術習得に向けたタスクトレーニングの効果と課題

―血圧測定の技術に焦点を当てて―

綿貫 未来, 飯塚 裕子, 茂木 優子 (太田高等看護学院)

Keywords:タスクトレーニング、効果、看護学生

【目的】血圧測定のタスクトレーニング実施による目標達成度と副次的効果を明らかにし、その効果と課題を考察する。【方法】対象は、A 看護学校3 年課程1 年次学生36 名。タスクトレーニング時の患者役は、対象学生の他、上級生・教員とした。データ収集には、血圧測定技術の達成度を自己評価する3 側面14 項目の選択回答式質問、項目以外に学んだ内容(副次的効果)を問う自由回答式質問で構成した質問紙を用いた。質問紙は、タスクトレーニング実施前後に配布し回収した。選択式質問への回答は記述統計量を算出し、自由回答式質問への回答は内容の類似性に基づき分類しカテゴリ化した。対象者には、研究目的、個人情報保護、自由意思による参加を書面と口頭で説明し同意を得た。【結果】回収率は、タスクトレーニング実施前36 名(100 %)、実施後17 名(47.2%)であった。14 項目全て達成と評価した学生は実施前2.7%、実施後11.8%であった。副次的効果は、[正確な測定結果を得るために患者の緊張緩和に向けた工夫の必要性を学んだ][効率的に測定することは患者の負担軽減につながることを学んだ][同級生間の相互行為ではわからないことを学んだ][臨床に近い状況での実施ができた][できないことはアドバイスを得ることが大切と学んだ][反復練習に伴う心理的安定を得られた]等の13 カテゴリが形成された。【考察】達成度の結果から、微細な手技、一度に、聞く、読む、手を動かすことが求められる比較的難易度の高い血圧測定の習得にタスクトレーニングが効果的であったと考えられる。副次的効果は、複数の多様な対象に実施したことによって得られたものである。学生は、患者役からフィードバックを受けたり、自ら患者役を実施したことで、圧迫時間延長による身体的苦痛や声かけによる心理的影響を経験し、患者への配慮の必要性が理解できたと考える。また、同級生同士では手順や方法の習得にとどまる傾向があるが、上級生や教員が参加することで、根拠に基づく実践の意義を理解し、実習経験のない学生が患者の状況をイメージすることにつながった。さらに、繰り返し練習することや他者から肯定的フィードバックを受けることで、自己評価と他者評価が一致し、自己効力感を高めることにつながった可能性がある。今後の課題は、卒業時に期待される技術習得レベルに到達するための仕組みを構築することである。