[ポスターY-8-3] A病院外科系急性期病棟の看護師における手指消毒の行動決定要因
キーワード:急性期病棟、手指消毒、行動決定要因
【目的】外科系急性期病棟の看護師における手指消毒の行動決定要因を検討し、手指衛生行動遵守率向上への具体的な方法を導き出す【方法】2022 年9 月~ 12 月看護師長、研究者3 名を除く看護師21 名を対象に2 種類のアンケート(手指衛生5 つのタイミングの理解を確認する1 項目、手指消毒の認識を確認する23 項目)を実施。1 患者1 勤務当たりの手指消毒剤使用量(以下使用量)は、ある特定した日勤で測定し、その使用量と記号を付けたアンケート結果を紐づけした。算出した使用量を基に、多い群(以下A 群)と少ない群(以下B 群)に分け、使用量とアンケート結果をSpearman の順位相関係数で算出した。研究対象者へ研究目的と意義及びプライバシー保護、研究参加は自由意志で仮に参加しなくとも業務に不利益が生じないことを趣意書を用いて説明し、アンケート参加をもって研究同意を得たものとした【結果】分析対象はアンケート未提出1 名、使用量未測定1 名を除く19 名。使用量は最低1.24g、最高40.5 g、中央値7.67 gであり、A群9 名、B 群10 名だった。5 つのタイミングの正解率は、両群共に「体液に曝露された可能性がある場合」が一番高く、手指消毒の認識の平均点もA 群4.8、B 群4.7 と一番高かった。手指消毒する理由は両群共に「感染させたくない」が一番多く8 名40%だった。A 群の手指消毒をする理由は「自分以外を不潔と思う。患者は何かの菌をもっている」で、B 群のしない理由は「手が染みる」だった。看護師経験10 年以上(30 ~ 40 歳代)の7 名全員は5 つのタイミングの正解率が75%以上だった(全体平均50%)。使用量と5 つのタイミングの理解度、手指消毒ができているかの5 段階評価はそれぞれで正の相関(r = 0.5748、0.6196)だった【考察】体液に曝露された可能性がある場合で、手指消毒の認識と理解度が高かったのは、排泄物は不潔で感染リスクが高いと感じやすいことが関連していると考えられる。B 群は手荒れを理由に手指消毒していないことが明瞭であり、手荒れ対策を強化することが有用である。経験年数が多い看護師は、臨床経験や知識が豊富であることから5つのタイミングの理解度が高いと考えられる。今後は経験年数10 年未満の看護師に対する手指消毒の知識向上と、5 つのタイミングの理解を深めていくことは、手指衛生遵守率向上につながると考える。