第61回日本油化学会年会

◆オレオナノサイエンス部会シンポジウム

日時:9/9(土)9時30分から11時30分

タイトル:「皮膚・油脂と経皮吸収 〜製剤から皮膚科学まで〜」
 オーガナイザ:坂田修先生(㈱コーセー)、徳留嘉寛(佐賀大)

開催主旨:皮膚(角層)は角層細胞間脂質がバリア機能として機能していることや、皮膚表面には皮脂膜が存在することで、保湿など皮膚の恒常性を保っています。また、経皮吸収のキャリアとして以前から脂質などを利用する例が多いことなど、皮膚の生理機能としても薬物キャリアとしても脂質や油脂は非常に重要であるので、これらの分野で活躍されている先生方をお招きして、製剤から皮膚科学を幅広く議論できるようなシンポジウムとします。

 

 グリセリルエーテルの作る
会合構造と経皮吸収

佐野 友彦

帝京科学大学 生命環境学部 生命科学科




 
概要:グリセリルエーテル/エステルは低濃度から種々の会合構造を形成する。この会合構造を利用して、薬物の放出制御等に応用する研究が行われている。本講演ではイソステアリルグリセリルエーテルの会合構造と経皮吸収性の関連についての研究事例を紹介します。

 ベシクル製剤の皮膚(角層)
に与える評価

大成 宏樹

株式会社コーセー 研究所




 
概要:リポソームに代表されるベシクル製剤は化粧品にも活用されており、DDSキャリアとして内包薬剤をデリバリーするだけではなく、膜中の脂質自体が皮膚角層に作用します。本講演では皮膚角層の細胞間脂質の特性、リポソーム製剤が角層内外に及ぼす影響を中心に紹介します。

 
皮脂と皮膚バリア調節

佐藤 隆

東京薬科大学 薬学部 生化学教室




 
概要:皮表に分泌された皮脂は、汗と混ざり合って脂質膜を形成することで殺菌,水分保持や体温調節に関わる皮膚バリア調節因子である。また、皮脂の産生分泌は加齢に伴い減少し、乾燥肌などの皮膚トラブルを誘発します。本講演では、皮脂の生理的役割とその産生・分泌調節、皮脂分泌異常症について紹介します。