[OD-1-3] 口述発表:運動器疾患 1変形性肘関節症における患者立脚型評価の術後成績
【はじめに】
当院作業療法では肘関節の手術に対する評価として, 関節可動域, 筋力, 神経症状, 機能などの客観的評価に加え, 主観的評価として患者立脚型評価を肘関節に特化する目的で開発された患者立脚型肘関節機能評価日本語版(PREE-J;Patient Rated Elbow Evaluation-Japanese)(以下PREE)を用いている. PREEは疼痛とADL上の肘関節の特定の動作と通常の動作の3種類の項目の質問内容から成り立っている. 本邦では全体のスコアのみでなく, 各項目ごとの結果の報告は少なく, 今回, 各項目ごとの結果を検討したので報告する.
【対象】
変形性肘関節症の診断で2017年から2019年に当院整形外科で関節鏡視下手術を施行し, 術前, 術後にPREEによる評価を行えた17例(右12肘, 左5肘, 男性14例, 女性3例, 平均年齢56歳)である. なお, 対象者には紙面にてデータ収集, 発表の同意を得ている.
【方法】
対象の作業療法実施期間及び, 術前と作業療法終了時の屈曲, 伸展の関節可動域, PREEの全体のスコア, 痛み, 機能スコア, 特定の動作(以下SF), 通常の動作(以下UF)それぞれの点数を後方視的にカルテより抽出し, 術前と終了時の値を検討した. 統計学的処理としてShapiro Wilk検定を行い, データが正規分布している場合はt検定を, していない場合はWilcoxonの検定を用いた. 有意水準は5%とした. 後療法は全例可及的早期より可動域運動を開始している.
【結果】
作業療法実施期間は平均5.2カ月であった. 平均関節可動域は術前屈曲118.5度, 終了時131.5度(p<0.001), 術前伸展-22.6度, 終了時-12.1度(p=0.002)であった. PREEのそれぞれの平均値は全体スコアは術前35.5 終了時22.6(p=0.026), 痛みは術前19.5 終了時13.7(p=0.051), 機能は術前16.1 終了時8.9(p=0.016), SFは術前33.8 終了時17.9(p=0.034), UFは術前14.8 終了時8.9(p=0.017)であった. 痛み以外の項目で有意差を認めた.
【考察】
関節可動域は術前に比べ改善しており, PREEの全体のスコアとしても, 術前に比べ作業療法終了時に有意に改善を認めている. 項目別に検討すると, 特定の動作と通常の動作は有意に改善を認めている. 痛みの項目は改善している傾向があるが,統計学的には有意差がなかった. 痛みの項目には繰り返し動作や, 重いものの持ち上げ動作が含まれており , 可動域運動時や身の回り動作時の疼痛改善のみでなく, 個々に応じた痛みの項目の内容検討や労作時などの疼痛にも応じた作業療法を実施することでさらに患者満足度の改善が期待できると考えられた.
当院作業療法では肘関節の手術に対する評価として, 関節可動域, 筋力, 神経症状, 機能などの客観的評価に加え, 主観的評価として患者立脚型評価を肘関節に特化する目的で開発された患者立脚型肘関節機能評価日本語版(PREE-J;Patient Rated Elbow Evaluation-Japanese)(以下PREE)を用いている. PREEは疼痛とADL上の肘関節の特定の動作と通常の動作の3種類の項目の質問内容から成り立っている. 本邦では全体のスコアのみでなく, 各項目ごとの結果の報告は少なく, 今回, 各項目ごとの結果を検討したので報告する.
【対象】
変形性肘関節症の診断で2017年から2019年に当院整形外科で関節鏡視下手術を施行し, 術前, 術後にPREEによる評価を行えた17例(右12肘, 左5肘, 男性14例, 女性3例, 平均年齢56歳)である. なお, 対象者には紙面にてデータ収集, 発表の同意を得ている.
【方法】
対象の作業療法実施期間及び, 術前と作業療法終了時の屈曲, 伸展の関節可動域, PREEの全体のスコア, 痛み, 機能スコア, 特定の動作(以下SF), 通常の動作(以下UF)それぞれの点数を後方視的にカルテより抽出し, 術前と終了時の値を検討した. 統計学的処理としてShapiro Wilk検定を行い, データが正規分布している場合はt検定を, していない場合はWilcoxonの検定を用いた. 有意水準は5%とした. 後療法は全例可及的早期より可動域運動を開始している.
【結果】
作業療法実施期間は平均5.2カ月であった. 平均関節可動域は術前屈曲118.5度, 終了時131.5度(p<0.001), 術前伸展-22.6度, 終了時-12.1度(p=0.002)であった. PREEのそれぞれの平均値は全体スコアは術前35.5 終了時22.6(p=0.026), 痛みは術前19.5 終了時13.7(p=0.051), 機能は術前16.1 終了時8.9(p=0.016), SFは術前33.8 終了時17.9(p=0.034), UFは術前14.8 終了時8.9(p=0.017)であった. 痛み以外の項目で有意差を認めた.
【考察】
関節可動域は術前に比べ改善しており, PREEの全体のスコアとしても, 術前に比べ作業療法終了時に有意に改善を認めている. 項目別に検討すると, 特定の動作と通常の動作は有意に改善を認めている. 痛みの項目は改善している傾向があるが,統計学的には有意差がなかった. 痛みの項目には繰り返し動作や, 重いものの持ち上げ動作が含まれており , 可動域運動時や身の回り動作時の疼痛改善のみでなく, 個々に応じた痛みの項目の内容検討や労作時などの疼痛にも応じた作業療法を実施することでさらに患者満足度の改善が期待できると考えられた.