[OI-1-3] 口述発表:発達障害 1Cognitive Orientation to daily Occupational Performance (CO-OP) Approachによりスキル獲得に繋がった神経発達症の幼児の事例
【はじめに】
Cognitive Orientation to daily Occupational Performance(CO-OP)Approachは,協調運動の問題を持つ子どものために開発されたアプローチであり,クライエント中心,遂行ベース,問題解決の中心原理に基づきスキルの獲得や認知戦略の使用などを目的とする課題指向型アプローチの一つである.CO-OP Approachは協調運動の問題をもつ神経発達症児に対して効果が報告されている一方,学齢期以降での適用が推奨されており幼児に対する実践報告は少なく,国内における報告はほとんどない.
【目的】
今回,神経発達症のある幼児に対してCO-OP Approachを実践し,本児が目標とする運動スキルの獲得に繋がったため報告する.本報告に関連し発表者全員に開示すべきCOIはない.
【方法】
対象:5歳(年長)の男児.診断名は注意欠如多動症.知能検査による知能指数は105.OT初回の面接時に,本児から「縄跳びが出来るようになりたい」と発言があったことや言語発達に遅れがみられないことからCO-OP Approachを適用した.尚,本報告に際し症例と保護者に同意を得ている.
介入:3つのフェーズ(準備フェーズ,獲得フェーズ,再評価フェーズ)に分けて実施した.準備フェーズでは,本児と保護者に対するCO-OP Approachの趣旨説明,目標設定,初回評価を行った.目標設定では,生活記録表を用い,「一人で縄跳びができる」「跳び箱5段を跳ぶことができる」「側転ができる」の目標を設定した.初回評価では,CO-OP Approachのアウトカム指標であるCOPM,PQRSを実施した.COPMは本児が遂行度と満足度を評定し,PQRSはOT3名が本児の遂行場面の映像をもとに遂行度を評定した.獲得フェーズでは,2週に1回の頻度で計10回の介入を行った.CO-OP Approachの中心原理に基づき,本児の目標とする運動スキルの遂行に焦点を当て,認知戦略を用いながら運動スキルの改善を図った.介入中,低年齢への配慮として,作戦カードを作成し認知戦略の思考過程を視覚化した.また,汎化に向けて本児の認知戦略を集約したカードを作成し手渡した.再評価フェーズでは,COPM,PQRSを実施した.
【結果】
COPMでは,介入前後で「一人で縄跳びができる」は遂行度1→6,満足度10→10となり,「跳び箱5段を跳ぶことができる」は遂行度6→10,満足度10→10,「側転ができる」は遂行度8→9,満足度10→10となった.PQRSでは,介入前後で「一人で縄跳びができる」は3→8,「跳び箱5段を跳ぶことができる」は5→10,「側転ができる」は3→7となりパフォーマンスの向上が認められた.また,介入回数が増えるにつれて本児自ら認知戦略を導き出す場面が増加した.
【考察】
今回,神経発達症のある幼児に対してCO-OP Approachを実践し目標とする運動スキルの獲得に繋がった.本児は当初から「縄跳びができるようになりたい」という具体的な目標を持っており,その目標を意識しながら介入できたことが運動スキルの獲得に繋がったと考えられる.また,低年齢への配慮として認知戦略を視覚化したことで,本児の認知戦略の理解と習得を促せたことも運動スキルの獲得に繋がった要因であると考えられる.対象児の特性と低年齢に対する適切な配慮を行うことで,幼児に対してもCO-OP Approachが有効である可能性がある
Cognitive Orientation to daily Occupational Performance(CO-OP)Approachは,協調運動の問題を持つ子どものために開発されたアプローチであり,クライエント中心,遂行ベース,問題解決の中心原理に基づきスキルの獲得や認知戦略の使用などを目的とする課題指向型アプローチの一つである.CO-OP Approachは協調運動の問題をもつ神経発達症児に対して効果が報告されている一方,学齢期以降での適用が推奨されており幼児に対する実践報告は少なく,国内における報告はほとんどない.
【目的】
今回,神経発達症のある幼児に対してCO-OP Approachを実践し,本児が目標とする運動スキルの獲得に繋がったため報告する.本報告に関連し発表者全員に開示すべきCOIはない.
【方法】
対象:5歳(年長)の男児.診断名は注意欠如多動症.知能検査による知能指数は105.OT初回の面接時に,本児から「縄跳びが出来るようになりたい」と発言があったことや言語発達に遅れがみられないことからCO-OP Approachを適用した.尚,本報告に際し症例と保護者に同意を得ている.
介入:3つのフェーズ(準備フェーズ,獲得フェーズ,再評価フェーズ)に分けて実施した.準備フェーズでは,本児と保護者に対するCO-OP Approachの趣旨説明,目標設定,初回評価を行った.目標設定では,生活記録表を用い,「一人で縄跳びができる」「跳び箱5段を跳ぶことができる」「側転ができる」の目標を設定した.初回評価では,CO-OP Approachのアウトカム指標であるCOPM,PQRSを実施した.COPMは本児が遂行度と満足度を評定し,PQRSはOT3名が本児の遂行場面の映像をもとに遂行度を評定した.獲得フェーズでは,2週に1回の頻度で計10回の介入を行った.CO-OP Approachの中心原理に基づき,本児の目標とする運動スキルの遂行に焦点を当て,認知戦略を用いながら運動スキルの改善を図った.介入中,低年齢への配慮として,作戦カードを作成し認知戦略の思考過程を視覚化した.また,汎化に向けて本児の認知戦略を集約したカードを作成し手渡した.再評価フェーズでは,COPM,PQRSを実施した.
【結果】
COPMでは,介入前後で「一人で縄跳びができる」は遂行度1→6,満足度10→10となり,「跳び箱5段を跳ぶことができる」は遂行度6→10,満足度10→10,「側転ができる」は遂行度8→9,満足度10→10となった.PQRSでは,介入前後で「一人で縄跳びができる」は3→8,「跳び箱5段を跳ぶことができる」は5→10,「側転ができる」は3→7となりパフォーマンスの向上が認められた.また,介入回数が増えるにつれて本児自ら認知戦略を導き出す場面が増加した.
【考察】
今回,神経発達症のある幼児に対してCO-OP Approachを実践し目標とする運動スキルの獲得に繋がった.本児は当初から「縄跳びができるようになりたい」という具体的な目標を持っており,その目標を意識しながら介入できたことが運動スキルの獲得に繋がったと考えられる.また,低年齢への配慮として認知戦略を視覚化したことで,本児の認知戦略の理解と習得を促せたことも運動スキルの獲得に繋がった要因であると考えられる.対象児の特性と低年齢に対する適切な配慮を行うことで,幼児に対してもCO-OP Approachが有効である可能性がある