[ON-1-5] 口述発表:地域 1墨田区内の訪問リハビリテーションの効果検証
【はじめに】訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)は介護保険下において利用割合が低く,その支援内容や効果が見えづらく,墨田区内の訪問リハ事業所においても実態調査や属性の把握にとどまっている事が多い.そのため,今回墨田区内の訪問リハ事業所と協同し,訪問リハの活用に繋がる一助にする為,訪問リハの利用者の属性とその効果検証を実施した為,下記に報告する.
【方法】対象者は2021年6・7月に墨田区内の訪問リハ事業所を新規利用した区内在住の要支援・要介護者とした.訪問リハ利用開始時に初回評価を実施し,半年後又は終了時に最終評価を実施した.
【倫理的配慮】本研究参加者には,研究目的・方法・参加は自由意志で拒否による不利益はないこと,及び個人情報保護について説明を行い,同意を得た.また,今回の研究で用いたデータは各病院の倫理審査委員会の承認を得て,対象者が特定されないよう配慮した.
【結果】協力の同意を得られた墨田区内の3事業所15名であった.
①基本情報:平均年齢は85.47歳,男性11名・女性4名,主疾患は整形疾患7名・脳血管疾患5名・その他3名,介護度の中央値は要介護2であった.家族構成は独居4名・配偶者のみ6名・子ども同居は5名であった.発症からの訪問リハ開始期間は平均113日,直近入院期間は平均65日・退院から訪問リハ開始期間は平均26日,訪問リハ利用期間は平均130日(終了者7名)であった.終了者の終了理由は入院1名・死亡1名・通所施設利用2名・訪問看護利用1名・役割獲得2名であった.
②環境面:福祉用具導入実施14名・導入なし1名,住宅改修は実施3名・改修なし12名であった.訪問リハ以外の介護保険サービスの利用の合計数は初回・最終共に15であった.
③生活機能:障害高齢者日常生活自立度は5名で改善がみられた.屋内移動は改善が5名・悪化が2名,屋外移動は改善が3名であった.FIMは運動項目の平均値は初回66.6点・最終70点✴,認知項目の平均値は初回24.6点・最終25点,合計の平均値が初回91.2点・最終95点✴であった.FAIの合計の平均値は初回6.53点・最終11.73点✴であった.(✴ウィルコクソン符号付順位和検定にて有意差ありP<0.05)
④⑤介護負担・健康観:介護負担はZarit介護負担感尺度日本語版にて合計の平均値が初回8.13・最終6.13,主観的健康感VASにて平均値が初回3.92・最終6であった.
【考察】①基本情報より,訪問リハは後期高齢者,男性が多く,独居や高齢の配偶者のみの世帯,別居者がキーパーソンとなっている事が多かった.入院から訪問リハ利用開始までの期間はADLの改善率が高まると言われている2週間を超えた26日という結果となり,より速やかな医療介護の連携が望まれる.②環境面では福祉用具の導入,住宅改修を積極的に行えており,その時々に合わせ,環境評価を行いADLの状況や歩行の改善,介護負担感の軽減に繋がっていると考える.③生活機能では,FIM運動項目・合計点,FAI合計点は初回と最終時に有意差が認められた.訪問リハの介入が身体機能面に限らず,生活全般に対して改善を促進出来ていると考える.④⑤より介護負担感や主観的健康観では有意差はみられなかったが,個々の結果は改善傾向であった.上記,効果検証を通して訪問リハは環境面,生活機能,介護負担・健康観に良い効果をもたらしていた.医療介護福祉の従事者や保険者に今回の結果を周知共有することでより良い連携を生み出す可能性が示唆された.
【今後の課題】今回の効果検証は限られた時期の利用者に焦点化したものであり,一般化することは難しい.今後も定期的に効果検証を行い,更なる訪問リハの効果検証を引き続き実施していきたいと考える.
【方法】対象者は2021年6・7月に墨田区内の訪問リハ事業所を新規利用した区内在住の要支援・要介護者とした.訪問リハ利用開始時に初回評価を実施し,半年後又は終了時に最終評価を実施した.
【倫理的配慮】本研究参加者には,研究目的・方法・参加は自由意志で拒否による不利益はないこと,及び個人情報保護について説明を行い,同意を得た.また,今回の研究で用いたデータは各病院の倫理審査委員会の承認を得て,対象者が特定されないよう配慮した.
【結果】協力の同意を得られた墨田区内の3事業所15名であった.
①基本情報:平均年齢は85.47歳,男性11名・女性4名,主疾患は整形疾患7名・脳血管疾患5名・その他3名,介護度の中央値は要介護2であった.家族構成は独居4名・配偶者のみ6名・子ども同居は5名であった.発症からの訪問リハ開始期間は平均113日,直近入院期間は平均65日・退院から訪問リハ開始期間は平均26日,訪問リハ利用期間は平均130日(終了者7名)であった.終了者の終了理由は入院1名・死亡1名・通所施設利用2名・訪問看護利用1名・役割獲得2名であった.
②環境面:福祉用具導入実施14名・導入なし1名,住宅改修は実施3名・改修なし12名であった.訪問リハ以外の介護保険サービスの利用の合計数は初回・最終共に15であった.
③生活機能:障害高齢者日常生活自立度は5名で改善がみられた.屋内移動は改善が5名・悪化が2名,屋外移動は改善が3名であった.FIMは運動項目の平均値は初回66.6点・最終70点✴,認知項目の平均値は初回24.6点・最終25点,合計の平均値が初回91.2点・最終95点✴であった.FAIの合計の平均値は初回6.53点・最終11.73点✴であった.(✴ウィルコクソン符号付順位和検定にて有意差ありP<0.05)
④⑤介護負担・健康観:介護負担はZarit介護負担感尺度日本語版にて合計の平均値が初回8.13・最終6.13,主観的健康感VASにて平均値が初回3.92・最終6であった.
【考察】①基本情報より,訪問リハは後期高齢者,男性が多く,独居や高齢の配偶者のみの世帯,別居者がキーパーソンとなっている事が多かった.入院から訪問リハ利用開始までの期間はADLの改善率が高まると言われている2週間を超えた26日という結果となり,より速やかな医療介護の連携が望まれる.②環境面では福祉用具の導入,住宅改修を積極的に行えており,その時々に合わせ,環境評価を行いADLの状況や歩行の改善,介護負担感の軽減に繋がっていると考える.③生活機能では,FIM運動項目・合計点,FAI合計点は初回と最終時に有意差が認められた.訪問リハの介入が身体機能面に限らず,生活全般に対して改善を促進出来ていると考える.④⑤より介護負担感や主観的健康観では有意差はみられなかったが,個々の結果は改善傾向であった.上記,効果検証を通して訪問リハは環境面,生活機能,介護負担・健康観に良い効果をもたらしていた.医療介護福祉の従事者や保険者に今回の結果を周知共有することでより良い連携を生み出す可能性が示唆された.
【今後の課題】今回の効果検証は限られた時期の利用者に焦点化したものであり,一般化することは難しい.今後も定期的に効果検証を行い,更なる訪問リハの効果検証を引き続き実施していきたいと考える.