[ON-2-6] 口述発表:地域 2地域で暮らす高次脳機能障害者との自立生活アシスタント事業を通した関わり
~メール活用に向けての取り組み~
【序論】障害者自立生活アシスタント事業とは,平成13年度より横浜市が独自に行っている事業であり,施設の専門性を活かし,単身等で生活する知的障害者,精神障害者,発達障害者及 び高次脳機能障害を有するために日常生活又は社会生活に支援が必要な者に対して,障害特性を踏まえた社会適応力・生活力を高めるための支援を行うことにより,地域の障害者の生活の安定と福祉の向上を図る事業である.
【目的】地域で暮らす失語症を呈した対象者との関わりの中で,その支援の難しさや支援のコツを学ぶことができた.成功体験により対象者が自立生活アシスタント(以下,アシスタント)の支援の重要性に気づき,その後の自立生活の獲得に向けた練習に取り組めるようになったため報告する.本発表にあたり対象者より同意書にて同意を得ている.
【利用者紹介】50歳代男性.アテローム血栓性脳梗塞(左前頭葉,頭頂葉の出血性梗塞).運動麻痺はなくADL自立.高次脳機能障害として全失語,観念運動失行,注意障害,記銘力低下を認めた.発症6ヶ月後,病院での治療を終え自宅退院となったが,独居のためアシスタント支援が開始.発症7ヶ月後より市内のリハビリ施設にて外来言語療法開始.発症1年2ヶ月後より同施設の就労支援を開始.発症から3年後に障害者雇用で就職.生活保護受給中.身体障害者手帳4級.
【問題点】支援開始当初は郵便物等の書類が届くが重要なものか判断できず,分からないものは捨ててしまうことがあった.その後書類はファイリングできるようになったが,自ら相談することは難しく,アシスタントが定期的に訪問しチェックしていた.しかし,訪問は月に1度のため書類によっては期日が過ぎてしまう恐れがあり,対処方法を検討する必要があった.
【支援内容】郵便物をスマートフォン(以下スマホ)で写真を撮り,メールに添付し送信できれば問題解決につながると考えた.スマホの操作能力は,よく使う通販サイトの操作,写真撮影は可能だが,文章の入力は困難.写真を添付しメールを送信することはアシスタントがやり方を説明すればできたが,日にちがあくと忘れていた.アシスタントは手順を示した書類を作成し,対象者自身で確認できるようにした.対象者はスマホ練習の必要性を感じていない様子であったが,メールが使えると地域支援の拡大につながると考え,訪問時に繰り返し操作練習を行った.
【結果】メールの支援開始から3ヶ月程経過した頃,対象者がオークションサイトの売買の際に文字が分からず,トラブルに繋がりかねない出来事があった.出品者へのメッセージ送信は対象者同意のもとアシスタントが行ったが,後日返信など動きがあった場合はアシスタントへ報告するよう伝えた.数日後,対象者より出品者との取引画面の画像が添付されたメールが届き報告することができた.後日,対象者へ聞き取りをしたところ,メールを使用できることの必要性が分かり,また何かあったらメールで連絡してみようと思うと述べ,練習に対して前向きな姿勢がみられた.
【考察】今回の経験では,対象者自身に生活の課題や課題解決の必要性を,成功体験を通じて理解してもらうことが重要であることがわかった.対象者がいくら必要性を感じていても,対象者が同じ認識でない限り,支援者の押し付けになってしまう.アシスタントとして関わる上で,支援が押し売りにならないよう,生活の課題に気づいてもらい,目標を合意した上で支援していくことの大切さを学ぶことができた.
【目的】地域で暮らす失語症を呈した対象者との関わりの中で,その支援の難しさや支援のコツを学ぶことができた.成功体験により対象者が自立生活アシスタント(以下,アシスタント)の支援の重要性に気づき,その後の自立生活の獲得に向けた練習に取り組めるようになったため報告する.本発表にあたり対象者より同意書にて同意を得ている.
【利用者紹介】50歳代男性.アテローム血栓性脳梗塞(左前頭葉,頭頂葉の出血性梗塞).運動麻痺はなくADL自立.高次脳機能障害として全失語,観念運動失行,注意障害,記銘力低下を認めた.発症6ヶ月後,病院での治療を終え自宅退院となったが,独居のためアシスタント支援が開始.発症7ヶ月後より市内のリハビリ施設にて外来言語療法開始.発症1年2ヶ月後より同施設の就労支援を開始.発症から3年後に障害者雇用で就職.生活保護受給中.身体障害者手帳4級.
【問題点】支援開始当初は郵便物等の書類が届くが重要なものか判断できず,分からないものは捨ててしまうことがあった.その後書類はファイリングできるようになったが,自ら相談することは難しく,アシスタントが定期的に訪問しチェックしていた.しかし,訪問は月に1度のため書類によっては期日が過ぎてしまう恐れがあり,対処方法を検討する必要があった.
【支援内容】郵便物をスマートフォン(以下スマホ)で写真を撮り,メールに添付し送信できれば問題解決につながると考えた.スマホの操作能力は,よく使う通販サイトの操作,写真撮影は可能だが,文章の入力は困難.写真を添付しメールを送信することはアシスタントがやり方を説明すればできたが,日にちがあくと忘れていた.アシスタントは手順を示した書類を作成し,対象者自身で確認できるようにした.対象者はスマホ練習の必要性を感じていない様子であったが,メールが使えると地域支援の拡大につながると考え,訪問時に繰り返し操作練習を行った.
【結果】メールの支援開始から3ヶ月程経過した頃,対象者がオークションサイトの売買の際に文字が分からず,トラブルに繋がりかねない出来事があった.出品者へのメッセージ送信は対象者同意のもとアシスタントが行ったが,後日返信など動きがあった場合はアシスタントへ報告するよう伝えた.数日後,対象者より出品者との取引画面の画像が添付されたメールが届き報告することができた.後日,対象者へ聞き取りをしたところ,メールを使用できることの必要性が分かり,また何かあったらメールで連絡してみようと思うと述べ,練習に対して前向きな姿勢がみられた.
【考察】今回の経験では,対象者自身に生活の課題や課題解決の必要性を,成功体験を通じて理解してもらうことが重要であることがわかった.対象者がいくら必要性を感じていても,対象者が同じ認識でない限り,支援者の押し付けになってしまう.アシスタントとして関わる上で,支援が押し売りにならないよう,生活の課題に気づいてもらい,目標を合意した上で支援していくことの大切さを学ぶことができた.