[ON-6-3] 口述発表:地域 6コロナ禍における余暇活動の制限と主観的健康感との関連
~地域在住高齢者における横断研究~
【背景・目的】COVID-19流行に伴い地域在住高齢者は余暇活動の制限を余儀なくされ,作業機能障害に陥っている.COVID-19による感染拡大防止策により地域在住高齢者の活動低下及び主観的健康の低下が報告されている(大内ら,2021/佐藤ら,2020).作業療法士は健康関連職種であり,高齢者の活動性低下を予防し,健康に寄与することが求められている.今回,地域在住高齢者におけるコロナ禍の自粛生活による余暇活動の制限と主観的健康感との関連を明らかにすることを目的とした.
【方法】研究デザインは横断研究とし,茨城県在住の地域在住高齢者498名を対象として郵送法にて調査を実施した.390名からの回収があり,その内本人が回答した365部を分析対象とした(有効回収率73.3%).調査時期は2021年10月1日からの約2週間で,日本での第5波がほぼ終息した時期であった.余暇活動については「現代高齢者版余暇活動尺度」(岩佐ら,2019)を使用し,調査時点(2021年10月)に加えて,コロナ禍以前(2020年2月以前)の状況について後方視的に回答を求めた.主観的健康感については「1.とても健康,2.まあ健康,3.あまり健康でない,4.健康ではない」の4件法で回答を求めた.「現代高齢者版余暇活動尺度」の11因子の余暇活動について各4件法で回答したものを集計した.現在の値からコロナ禍以前の値を減算して変化量を算出した.+1以上を「改善」,0を「維持」,−1以下を「悪化(活動制限あり)」とした.また,尺度得点(合計点)も算出した.余暇活動尺度の各項目の変化量と主観的健康感の検討ではSpearmanの順位相関係数を算出した.本研究は北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会の承認を得て実施された(No.2019-029).倫理規定に基づき,個人情報の保護や研究同意の手続きを行った.
【結果】研究参加者は365名(女性280名,男性85名),平均年齢77.1±4.6(64-90)歳であった.以前からその活動を行なっていない者を除いた各活動状況の変化と主観的健康感の相関分析を男女別と前期高齢者(65-74歳)・後期高齢者(75歳以上)別に行なった(女性:前期96名,後期183名,男性:後期79名).以下,結果は男女別で有意(p<.05)な相関があったものを記載した.
・電子機器の利用 :女性前期高齢者(r=.275,p=.014)
:男性後期高齢者(r=.282,p=.023)
・地域・社会活動 :女性後期高齢者(r=.289,p<.001)
・友人との交流 :女性後期高齢者(r=.240,p=.002)
・学習活動 :女性後期高齢者(r=.165,p=.035)
・文化的活動 :男性後期高齢者(r=.391,p=.002)
・旅行 :男性後期高齢者(r=.264,p=.028)
・創作芸術活動 :男性後期高齢者(r=.271,p=.047)
・植物の世話 :女性後期高齢者(r=.163,p=.038)
・余暇活動尺度合計 :女性後期高齢者(r=.219,p=.010)
:男性後期高齢者(r=.257,p=.037)
「運動」,「独りで行うゲーム」,「対人で行うゲーム」は有意な程の相関はなかった.
【考察・結論】余暇活動の変化量と主観的健康感には全般的に正の相関があった.つまり,主観的健康感が高い程,余暇活動が実施出来ていることが明らかとなった.特に後期高齢者で男性では文化的活動,女性では地域・社会活動が実施出来ていることが分かった.主観的健康感を高めるための取り組みは高齢者の健康増進を図るために必要であり,男女の違いは今後の介入に向けて大きな一助となり得ると考えられる.
【方法】研究デザインは横断研究とし,茨城県在住の地域在住高齢者498名を対象として郵送法にて調査を実施した.390名からの回収があり,その内本人が回答した365部を分析対象とした(有効回収率73.3%).調査時期は2021年10月1日からの約2週間で,日本での第5波がほぼ終息した時期であった.余暇活動については「現代高齢者版余暇活動尺度」(岩佐ら,2019)を使用し,調査時点(2021年10月)に加えて,コロナ禍以前(2020年2月以前)の状況について後方視的に回答を求めた.主観的健康感については「1.とても健康,2.まあ健康,3.あまり健康でない,4.健康ではない」の4件法で回答を求めた.「現代高齢者版余暇活動尺度」の11因子の余暇活動について各4件法で回答したものを集計した.現在の値からコロナ禍以前の値を減算して変化量を算出した.+1以上を「改善」,0を「維持」,−1以下を「悪化(活動制限あり)」とした.また,尺度得点(合計点)も算出した.余暇活動尺度の各項目の変化量と主観的健康感の検討ではSpearmanの順位相関係数を算出した.本研究は北里大学医療衛生学部研究倫理審査委員会の承認を得て実施された(No.2019-029).倫理規定に基づき,個人情報の保護や研究同意の手続きを行った.
【結果】研究参加者は365名(女性280名,男性85名),平均年齢77.1±4.6(64-90)歳であった.以前からその活動を行なっていない者を除いた各活動状況の変化と主観的健康感の相関分析を男女別と前期高齢者(65-74歳)・後期高齢者(75歳以上)別に行なった(女性:前期96名,後期183名,男性:後期79名).以下,結果は男女別で有意(p<.05)な相関があったものを記載した.
・電子機器の利用 :女性前期高齢者(r=.275,p=.014)
:男性後期高齢者(r=.282,p=.023)
・地域・社会活動 :女性後期高齢者(r=.289,p<.001)
・友人との交流 :女性後期高齢者(r=.240,p=.002)
・学習活動 :女性後期高齢者(r=.165,p=.035)
・文化的活動 :男性後期高齢者(r=.391,p=.002)
・旅行 :男性後期高齢者(r=.264,p=.028)
・創作芸術活動 :男性後期高齢者(r=.271,p=.047)
・植物の世話 :女性後期高齢者(r=.163,p=.038)
・余暇活動尺度合計 :女性後期高齢者(r=.219,p=.010)
:男性後期高齢者(r=.257,p=.037)
「運動」,「独りで行うゲーム」,「対人で行うゲーム」は有意な程の相関はなかった.
【考察・結論】余暇活動の変化量と主観的健康感には全般的に正の相関があった.つまり,主観的健康感が高い程,余暇活動が実施出来ていることが明らかとなった.特に後期高齢者で男性では文化的活動,女性では地域・社会活動が実施出来ていることが分かった.主観的健康感を高めるための取り組みは高齢者の健康増進を図るために必要であり,男女の違いは今後の介入に向けて大きな一助となり得ると考えられる.