[OQ-3-4] 口述発表:管理運営 3/援助機器 2当院作業療法部門におけるQuality indicatorの活動報告
【背景】
医療の質は,構造,プロセス,アウトカムの3つの面から評価することが一般的であるが,このうちプロセスやアウトカムを数値化したものをQuality indicator(以下QI)と呼ぶ.このQIによってその医療機関なり,医療プログラムを評価しようとする試みが,最近盛んとなっている(斉藤,2013).日本作業療法士協会においても,作業療法の質の評価ツール(Quality Evaluation Strategy Tool :QUEST)の日本語版を翻訳・作成し,取り組みを開始している.
【目的】
当院では,QIの活動を2007年より開始し,2019年よりリハビリテーション(以下,リハ)科各部門においても開始した.作業療法(以下OT)部門での活動を振り返り,今後の課題について報告する.
【活動の経過】
第1期:OT部門では対象を緩和ケア科入院患者と設定したが,先行文献は見当たらなかった.そのため,がんのリハ診療ガイドライン,がんのリハ研修の資料を用いて,QIの指標を作成することにした.アウトカム指標は推奨されている評価法とし,プロセス指標は推奨されている介入の遵守率とした.具体的には,アウトカム指標は,Performance Status,Barthel Index(以下BI)とし,プロセス指標は他職種連携,患者教育,リハ介入頻度,早期介入とした.各指標のデータはカルテより抽出した.十分に対応できており,これ以上の改善は困難である項目をQIの指標として適当ではないと判断し,緩和ケア科の医師管理者,看護師管理者と相談し,BI,他職種連携,患者教育を緩和ケア科入院患者のOT部門におけるQIの指標とした.
第2期:QIは継続的な質の改善をすすめる方法として,①計画,②実行,③評価,④改善のサイクルを用いる.対象者数を考慮し,半年に1回の頻度で上記の方法で見直しをおこなった.BIに関して,①データを抽出し目標値を設定することとした.②リハスタッフ間で記載漏れがないように声掛けを行った.③対象者の転帰により,点数にばらつきがみられた.④対象者を死亡退院とそれ以外の退院と転帰でわけ,BI点数の維持改善の割合という目標値の再設定を実施した.振り返りを行う中で,緩和ケア科の医師,看護師全員へ活動のプレゼンテーションをする機会を得た.そこで,緩和ケアにおけるリハの役割,カルテの記載内容,緩和ケア患者のアウトカム評価の困難さについて意見交換をし,OT部門のQIの活動に関して,共有することができた.
【まとめ】
QIの活動を通して,自分たちの実践を振り返ることができ,リハの役割について考える機会になった.また,医師,看護師といった多職種とのコミュニケーションツールとしての機能もあると実感した.相互理解が進むことで連携が深まり,リハにおける多職種アプローチの向上を図ることができると考えられる.
【今後の課題】
QIは継続的な質の改善を目標としている.今回作成したQIの指標は発展段階にあり,計画,実行,評価,改善のサイクルを繰り返していくこと必要である.また,QIの活動による効果検証も課題である.
医療の質は,構造,プロセス,アウトカムの3つの面から評価することが一般的であるが,このうちプロセスやアウトカムを数値化したものをQuality indicator(以下QI)と呼ぶ.このQIによってその医療機関なり,医療プログラムを評価しようとする試みが,最近盛んとなっている(斉藤,2013).日本作業療法士協会においても,作業療法の質の評価ツール(Quality Evaluation Strategy Tool :QUEST)の日本語版を翻訳・作成し,取り組みを開始している.
【目的】
当院では,QIの活動を2007年より開始し,2019年よりリハビリテーション(以下,リハ)科各部門においても開始した.作業療法(以下OT)部門での活動を振り返り,今後の課題について報告する.
【活動の経過】
第1期:OT部門では対象を緩和ケア科入院患者と設定したが,先行文献は見当たらなかった.そのため,がんのリハ診療ガイドライン,がんのリハ研修の資料を用いて,QIの指標を作成することにした.アウトカム指標は推奨されている評価法とし,プロセス指標は推奨されている介入の遵守率とした.具体的には,アウトカム指標は,Performance Status,Barthel Index(以下BI)とし,プロセス指標は他職種連携,患者教育,リハ介入頻度,早期介入とした.各指標のデータはカルテより抽出した.十分に対応できており,これ以上の改善は困難である項目をQIの指標として適当ではないと判断し,緩和ケア科の医師管理者,看護師管理者と相談し,BI,他職種連携,患者教育を緩和ケア科入院患者のOT部門におけるQIの指標とした.
第2期:QIは継続的な質の改善をすすめる方法として,①計画,②実行,③評価,④改善のサイクルを用いる.対象者数を考慮し,半年に1回の頻度で上記の方法で見直しをおこなった.BIに関して,①データを抽出し目標値を設定することとした.②リハスタッフ間で記載漏れがないように声掛けを行った.③対象者の転帰により,点数にばらつきがみられた.④対象者を死亡退院とそれ以外の退院と転帰でわけ,BI点数の維持改善の割合という目標値の再設定を実施した.振り返りを行う中で,緩和ケア科の医師,看護師全員へ活動のプレゼンテーションをする機会を得た.そこで,緩和ケアにおけるリハの役割,カルテの記載内容,緩和ケア患者のアウトカム評価の困難さについて意見交換をし,OT部門のQIの活動に関して,共有することができた.
【まとめ】
QIの活動を通して,自分たちの実践を振り返ることができ,リハの役割について考える機会になった.また,医師,看護師といった多職種とのコミュニケーションツールとしての機能もあると実感した.相互理解が進むことで連携が深まり,リハにおける多職種アプローチの向上を図ることができると考えられる.
【今後の課題】
QIは継続的な質の改善を目標としている.今回作成したQIの指標は発展段階にあり,計画,実行,評価,改善のサイクルを繰り返していくこと必要である.また,QIの活動による効果検証も課題である.