[OQ-3-5] 口述発表:管理運営 3/援助機器 2認知機能支援機器の利活用に関するインタビュー調査
~課題及び有効な支援について~
【序論】高齢化の急速な進展により,認知症の有病率は増加しており,介護負担の増大が課題となっている.こうした中,認知症を予防し,認知症の方に対しても本人が有する力を最大限に活かしながら,地域社会の中で共生できるような支援が求められている.これらに対して,認知機能を支援する機器は生活の自立や認知機能の改善に対する支援として有効性が示されつつある.しかしまだ,認知機能支援機器は十分に活用されているとは言い難い.
【目的】認知機能支援機器を有効に活用するために,支援機器利用における現状の課題と有効な提供方法,必要とされる支援体制や情報について明らかにすることを目的として実施した.
【方法】老年期障害領域において,支援機器の提供に携わるリハビリテーション専門職を対象としてインタビュー調査を実施した.介護老人保健施設に従事するリハビリテーション専門職に協力依頼し,5名の研究参加者が得られた.調査はインタビューガイドを用いた半構造化面接を実施した.質問内容は,認知機能支援機器の導入・利用・フォローにおける課題及び要点,支援機器提供において必要としている支援や情報について回答を得た.インタビュー調査の回答は,録音データより逐語録を作成し,回答をコード化し,コードの類似性より関連する項目に分類し,カテゴリー化して分析した.本研究は対象者に紙面と口頭にて説明し,研究参加の同意文書に署名を得た.当センターの倫理審査委員会の承認を受け,当センター総長の許可を得て実施した.
【結果】対象者は平均年齢38.2±SD3.6歳,女性3名,男性2名,全員が作業療法士であり,作業療法士の経験年数は平均14.6±SD5.2年であった.いずれの回答者も居宅サービスに従事した経験を有しており,支援機器の提案や選定に携わっていた.認知機能に関わる支援機器導入において,利用対象者本人からはニーズが抽出されにくく,ご家族からは徘徊や転倒予防に関わる相談を受けていた.インタビュー結果より,支援機器の導入・利用・フォローにおける課題の項目としては,利用者・ご家族の理解不足や認知度の低下,試用できる製品の不足,評価・適合の判断基準の不明確さ,提供後の活用状況の確認や利用効果を断定することの困難さ,などが抽出された.導入・提供における重要な項目として,退所後の生活を想定した提案,主介護者との連携,適合のための試用,認知機能の進行に伴う再評価・再適合,が抽出された.必要とされる支援体制として,施設入所中より試用・利用できる貸与制度,費用負担の軽減,支援機器の利用を補助する介護者に対する支援,地域の社会資源の柔軟な活用,などの項目が挙げられた.支援機器提供に関わる情報としては,整理された最新の情報,利用対象者の症状に適した支援機器に関する情報の集約,情報に触れる機会の充足,が必要な項目として挙げられた.
【考察】認知機能支援機器の利用において,リハビリテーション専門職は,利用対象者の評価,支援機器の選定,適合に関与していた.有効な支援機器を提供するためには,利用対象者の能力や生活背景を正しく評価し,利用対象者及びご家族や介護者のニーズも把握した上で対応する必要がある.提供後は,認知機能や活用状況の変化に合わせて,再評価・再適合が適切に行えるよう,専門的で継続的な支援が重要である.またこれらを円滑に進めるためには,最新の情報が集約され,効率よく取得できることも重要である.今後,認知機能支援機器を有効に活用するためのモデルや支援の枠組みを検討することにより,より適する支援機器が提供できるよう目指していく.
【目的】認知機能支援機器を有効に活用するために,支援機器利用における現状の課題と有効な提供方法,必要とされる支援体制や情報について明らかにすることを目的として実施した.
【方法】老年期障害領域において,支援機器の提供に携わるリハビリテーション専門職を対象としてインタビュー調査を実施した.介護老人保健施設に従事するリハビリテーション専門職に協力依頼し,5名の研究参加者が得られた.調査はインタビューガイドを用いた半構造化面接を実施した.質問内容は,認知機能支援機器の導入・利用・フォローにおける課題及び要点,支援機器提供において必要としている支援や情報について回答を得た.インタビュー調査の回答は,録音データより逐語録を作成し,回答をコード化し,コードの類似性より関連する項目に分類し,カテゴリー化して分析した.本研究は対象者に紙面と口頭にて説明し,研究参加の同意文書に署名を得た.当センターの倫理審査委員会の承認を受け,当センター総長の許可を得て実施した.
【結果】対象者は平均年齢38.2±SD3.6歳,女性3名,男性2名,全員が作業療法士であり,作業療法士の経験年数は平均14.6±SD5.2年であった.いずれの回答者も居宅サービスに従事した経験を有しており,支援機器の提案や選定に携わっていた.認知機能に関わる支援機器導入において,利用対象者本人からはニーズが抽出されにくく,ご家族からは徘徊や転倒予防に関わる相談を受けていた.インタビュー結果より,支援機器の導入・利用・フォローにおける課題の項目としては,利用者・ご家族の理解不足や認知度の低下,試用できる製品の不足,評価・適合の判断基準の不明確さ,提供後の活用状況の確認や利用効果を断定することの困難さ,などが抽出された.導入・提供における重要な項目として,退所後の生活を想定した提案,主介護者との連携,適合のための試用,認知機能の進行に伴う再評価・再適合,が抽出された.必要とされる支援体制として,施設入所中より試用・利用できる貸与制度,費用負担の軽減,支援機器の利用を補助する介護者に対する支援,地域の社会資源の柔軟な活用,などの項目が挙げられた.支援機器提供に関わる情報としては,整理された最新の情報,利用対象者の症状に適した支援機器に関する情報の集約,情報に触れる機会の充足,が必要な項目として挙げられた.
【考察】認知機能支援機器の利用において,リハビリテーション専門職は,利用対象者の評価,支援機器の選定,適合に関与していた.有効な支援機器を提供するためには,利用対象者の能力や生活背景を正しく評価し,利用対象者及びご家族や介護者のニーズも把握した上で対応する必要がある.提供後は,認知機能や活用状況の変化に合わせて,再評価・再適合が適切に行えるよう,専門的で継続的な支援が重要である.またこれらを円滑に進めるためには,最新の情報が集約され,効率よく取得できることも重要である.今後,認知機能支援機器を有効に活用するためのモデルや支援の枠組みを検討することにより,より適する支援機器が提供できるよう目指していく.