[PA-10-10] ポスター:脳血管疾患等 10脳卒中患者の患者報告アウトカムに関する文献研究
【序論】
患者報告アウトカム(patient-reported outcome: PRO)は,疾病や障害がある患者の思いを把握し,介入の効果判定に利用できることから,医療サービス分野全般において注目されている.なぜなら,PROの使用により疼痛やQOLなど,心身状態について,医療従事者と患者の認識の乖離を埋めることができるためである.特に,脳卒中者と作業療法士の協働により作業の再獲得を図る作業療法士にとって,PROは患者の意思決定の判断材料や介入の効果検証を行う上で重要であると考えられる.しかし,PROを目的とした尺度が多く開発されているものの,臨床や研究で使用されている尺度を概観した報告は少ない.そのため,脳卒中者に対するPROについてレビューすることにより,患者の心身状態の把握だけでなく,患者の意思決定や介入の効果検証において有用であると考えらえる.
【目的】
本研究の目的は,脳卒中者のPROを検討することを目的に,文献研究から現状と今後の課題を明らかにすることである.
【方法】
本研究のデザインは,系統的な文献研究である. システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告事項のPRISMA声明を参考とした.医中誌WEBを用いて,検索語は「(脳卒中/THor 脳卒中/AL) and ((リハビリテーション/TH or リハビリテーション/AL) or (理学療法/TH or 理学療法/AL) or (作業療法/TH or 作業療法/AL) or (言語療法/TH or 言語療法/AL)) and ((患者報告アウトカムの判定/TH or 患者報告アウトカム/AL) or ("自己評価(心理学)"/TH or 自己評価/AL) or (主観/AL))」とした.2022年1月9日に検索し,文献検索を実施した.選択基準は,日本人を対象とした日本語の論文で,脳卒中者のみを対象にしたランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,比較研究の原著論文であり,脳卒中者の自己評価を含む論文とした.除外基準は,リハビリテーションに関する内容ではない論文,プロトコル,解説,会議録,症例検討とした.選択基準を満たす論文を精読し,アブストラクトテーブルに内容を整理した.
【結果】
データベースによる文献検索の結果,376件が得られ,選択基準を満たす31件を分析対象とした.うつ性自己評価尺度(Self-rating Depression Scale:SDS)が8件,抑うつ症状検査(GeriatricDepression Scale:GDS)が4件,やる気スコアが3件,SF-36が3件,Falls Efficacy Scaleが2件,主観的健康感が2件,痛みや回復感等の既存の評価を用いないVisual Analogue Scaleが5件等であった.
【考察】
対象文献31件において脳卒中患者によるPROは,うつの評価が多く,その他,やる気スコア,SF-36等が使用されていた.療法士への質的研究では,脳卒中者の悲観的な発言や気分の落ち込み,意欲低下の観察内容が挙げられた一方で,うつの評価は使用されていなかった.脳卒中後うつの併発率は約3割と言われ,脳卒中治療ガイドラインでもうつの評価は推奨されている.そのため,脳卒中者のPROとして,うつの評価は重要であることが示唆された.今後は海外の論文をレビューすることで,脳卒中者のPROを広く概観し,脳卒中者への作業療法の実践において必要なPROを検討していく必要がある.
患者報告アウトカム(patient-reported outcome: PRO)は,疾病や障害がある患者の思いを把握し,介入の効果判定に利用できることから,医療サービス分野全般において注目されている.なぜなら,PROの使用により疼痛やQOLなど,心身状態について,医療従事者と患者の認識の乖離を埋めることができるためである.特に,脳卒中者と作業療法士の協働により作業の再獲得を図る作業療法士にとって,PROは患者の意思決定の判断材料や介入の効果検証を行う上で重要であると考えられる.しかし,PROを目的とした尺度が多く開発されているものの,臨床や研究で使用されている尺度を概観した報告は少ない.そのため,脳卒中者に対するPROについてレビューすることにより,患者の心身状態の把握だけでなく,患者の意思決定や介入の効果検証において有用であると考えらえる.
【目的】
本研究の目的は,脳卒中者のPROを検討することを目的に,文献研究から現状と今後の課題を明らかにすることである.
【方法】
本研究のデザインは,系統的な文献研究である. システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告事項のPRISMA声明を参考とした.医中誌WEBを用いて,検索語は「(脳卒中/THor 脳卒中/AL) and ((リハビリテーション/TH or リハビリテーション/AL) or (理学療法/TH or 理学療法/AL) or (作業療法/TH or 作業療法/AL) or (言語療法/TH or 言語療法/AL)) and ((患者報告アウトカムの判定/TH or 患者報告アウトカム/AL) or ("自己評価(心理学)"/TH or 自己評価/AL) or (主観/AL))」とした.2022年1月9日に検索し,文献検索を実施した.選択基準は,日本人を対象とした日本語の論文で,脳卒中者のみを対象にしたランダム化比較試験,準ランダム化比較試験,比較研究の原著論文であり,脳卒中者の自己評価を含む論文とした.除外基準は,リハビリテーションに関する内容ではない論文,プロトコル,解説,会議録,症例検討とした.選択基準を満たす論文を精読し,アブストラクトテーブルに内容を整理した.
【結果】
データベースによる文献検索の結果,376件が得られ,選択基準を満たす31件を分析対象とした.うつ性自己評価尺度(Self-rating Depression Scale:SDS)が8件,抑うつ症状検査(GeriatricDepression Scale:GDS)が4件,やる気スコアが3件,SF-36が3件,Falls Efficacy Scaleが2件,主観的健康感が2件,痛みや回復感等の既存の評価を用いないVisual Analogue Scaleが5件等であった.
【考察】
対象文献31件において脳卒中患者によるPROは,うつの評価が多く,その他,やる気スコア,SF-36等が使用されていた.療法士への質的研究では,脳卒中者の悲観的な発言や気分の落ち込み,意欲低下の観察内容が挙げられた一方で,うつの評価は使用されていなかった.脳卒中後うつの併発率は約3割と言われ,脳卒中治療ガイドラインでもうつの評価は推奨されている.そのため,脳卒中者のPROとして,うつの評価は重要であることが示唆された.今後は海外の論文をレビューすることで,脳卒中者のPROを広く概観し,脳卒中者への作業療法の実践において必要なPROを検討していく必要がある.