[PA-11-4] ポスター:脳血管疾患等 11脳卒中後回復期において修正CI療法を実施し,退院後半年にわたり麻痺手の使用行動の改善がみとめられた一症例
【はじめに】脳卒中後の上肢麻痺に対してエビデンスの高いアプローチとしてCI療法がある.CI療法は麻痺手の実生活における使用を促進し,さらにその効果が長期的に持続することが知られている.今回,修正CI療法を行い退院後半年にわたって麻痺手の使用行動の改善がみとめられた症例の経過について報告する.なお,本報告における主旨を本人に説明し同意を得ている.
【症例紹介】50歳代女性.症例は脳梗塞によって左片麻痺を呈し,他院で急性期加療後に当院へ転院.56病日目に回復期リハ病棟に転入した.上肢機能はFMA上肢項目54/66点,上肢操作能力はSTEF55/100点,ARAT48/57点,麻痺手の参加はMALのAOU2.86/5点,QOM2.86/5点であった.上肢運動の空間保持能力や耐久性の低下に加え,手指の伸展動作や対立動作の筋出力が不十分で左上肢を空間保持した状態での左手での固定やおさえが不十分であった.日常生活での参加は部分的にみられるものの乏しく拙劣さが目立っていた.症例の希望は日常生活における麻痺手の使用頻度・動作の質の向上と病前からの役割である家事動作の獲得であった.
【方法・経過】修正CI療法の実施に向けて麻痺手を積極的に使用する重要性を説明し,麻痺手の行動契約を行った.その際,ADOC for handを用いて,「食事のとき左手で茶碗を持つ」,「料理のとき左手で食材をおさえる」,「両手で皿洗い・洗濯を行う」などの目標を設定した.76病日目より1日に80分の作業療法とReoGo-Jを使用したロボット療法を含む自主訓練40分の計2時間の修正CI療法を約1ヵ月間実施した.課題指向型訓練ではShapingとして上肢の空間保持や手指の伸展・対立動作を含む物品操作練習を実施し,Task-practiceとして左手での茶碗把持練習や調理・皿洗い・洗濯などの家事動作練習を実施した.Transfer-package(以下,TP)として麻痺手の行動契約の他に実生活において麻痺手を使用する場面を設定し,その使用感について症例自身に紙面に記入してもらうことでセルフモニタリングの向上を図った.
【結果】介入から1ヵ月後(110病日目),上肢機能はFMA上肢項目63/66点,上肢操作能力はSTEF87/100点,ARAT52/57点,麻痺手の参加はMAL-AOU4/5点,MAL-QOM3.63/5点であった.目標に挙げた項目は達成され,ADLでの麻痺手の使用は実用的となり,119病日目に自宅退院した.127病日目から4回/月のペースで外来OTを継続しており,退院後の評価では2ヵ月後/4ヵ月後/6ヵ月後の順に ,FMA は 64/64/64 点 , STEF は 85/84/84 点 , ARAT は 54/53/54 点 , MALAOU4.22/4.22/4.22点, MAL-QOMは3.78/3.78/3.78点と修正CI療法終了時と比較して麻痺手の参加は更なる改善が認められた.症例からは「家でも左手を使って家事ができています」との発言が聞かれた.
【考察】FMAのMCIDは7~10点,MAL-AOUは0.5点,QOMは0.5~1.1点とされている.本症例は修正CI療法の前後でFMA・MALともにMCIDを超える変化を示しており意味のある介入ができたと考える.また,MALに関しては退院後も半年間にわたって改善がみられた.竹林らはCI療法終了後も半年間に渡って上肢機能や麻痺手の使用が改善することを報告している.本症例に関してもReoGo-Jを自主訓練として用いて効率的に上肢機能を改善させるだけでなく,行動学的手法であるTPを含む修正CI療法を行ったことで獲得した上肢機能を日常生活に汎化させることができ,退院後も麻痺手の使用改善が図れたと考える.
【症例紹介】50歳代女性.症例は脳梗塞によって左片麻痺を呈し,他院で急性期加療後に当院へ転院.56病日目に回復期リハ病棟に転入した.上肢機能はFMA上肢項目54/66点,上肢操作能力はSTEF55/100点,ARAT48/57点,麻痺手の参加はMALのAOU2.86/5点,QOM2.86/5点であった.上肢運動の空間保持能力や耐久性の低下に加え,手指の伸展動作や対立動作の筋出力が不十分で左上肢を空間保持した状態での左手での固定やおさえが不十分であった.日常生活での参加は部分的にみられるものの乏しく拙劣さが目立っていた.症例の希望は日常生活における麻痺手の使用頻度・動作の質の向上と病前からの役割である家事動作の獲得であった.
【方法・経過】修正CI療法の実施に向けて麻痺手を積極的に使用する重要性を説明し,麻痺手の行動契約を行った.その際,ADOC for handを用いて,「食事のとき左手で茶碗を持つ」,「料理のとき左手で食材をおさえる」,「両手で皿洗い・洗濯を行う」などの目標を設定した.76病日目より1日に80分の作業療法とReoGo-Jを使用したロボット療法を含む自主訓練40分の計2時間の修正CI療法を約1ヵ月間実施した.課題指向型訓練ではShapingとして上肢の空間保持や手指の伸展・対立動作を含む物品操作練習を実施し,Task-practiceとして左手での茶碗把持練習や調理・皿洗い・洗濯などの家事動作練習を実施した.Transfer-package(以下,TP)として麻痺手の行動契約の他に実生活において麻痺手を使用する場面を設定し,その使用感について症例自身に紙面に記入してもらうことでセルフモニタリングの向上を図った.
【結果】介入から1ヵ月後(110病日目),上肢機能はFMA上肢項目63/66点,上肢操作能力はSTEF87/100点,ARAT52/57点,麻痺手の参加はMAL-AOU4/5点,MAL-QOM3.63/5点であった.目標に挙げた項目は達成され,ADLでの麻痺手の使用は実用的となり,119病日目に自宅退院した.127病日目から4回/月のペースで外来OTを継続しており,退院後の評価では2ヵ月後/4ヵ月後/6ヵ月後の順に ,FMA は 64/64/64 点 , STEF は 85/84/84 点 , ARAT は 54/53/54 点 , MALAOU4.22/4.22/4.22点, MAL-QOMは3.78/3.78/3.78点と修正CI療法終了時と比較して麻痺手の参加は更なる改善が認められた.症例からは「家でも左手を使って家事ができています」との発言が聞かれた.
【考察】FMAのMCIDは7~10点,MAL-AOUは0.5点,QOMは0.5~1.1点とされている.本症例は修正CI療法の前後でFMA・MALともにMCIDを超える変化を示しており意味のある介入ができたと考える.また,MALに関しては退院後も半年間にわたって改善がみられた.竹林らはCI療法終了後も半年間に渡って上肢機能や麻痺手の使用が改善することを報告している.本症例に関してもReoGo-Jを自主訓練として用いて効率的に上肢機能を改善させるだけでなく,行動学的手法であるTPを含む修正CI療法を行ったことで獲得した上肢機能を日常生活に汎化させることができ,退院後も麻痺手の使用改善が図れたと考える.