[PA-2-10] ポスター:脳血管疾患等 2理学療法プログラムに影響を及ぼす作業療法目標の特徴~亜急性期病棟における ADOC を用いた目標の内容的検討~
【はじめに】他職種連携において目標の共有は重要であるが,患者のニーズに基づいたOT目標の発信が十分に行えていないと言われており(川口,2020),その背景には他職種の訓練にどのように反映するかが不明確であるためと推測する.
【目的】OT目標をPTと共有することで,1)PT訓練に反映された場合の内容,2)PT訓練に反映されなかった場合の理由,3)PT訓練の反映有無に影響する因子とOT目標の特徴を明らかにすることとした.
【方法】対象は,2021年1~12月に当院の亜急性期病棟に入院し,OT目標が設定できた患者とその担当PTとした.本研究は倫理委員会の承認を受け,対象者から書面で同意を得た.手順は,ADOCを用いて目標とする作業を決定し,その作業をどこで誰とどのようにするかを具体的に設定した.それをPTと共有し,退院時までにPT訓練に反映されたかをアンケートに回答してもらった.その際,PT訓練に反映された場合の内容を3択で「新規追加」「内容のアレンジ」「重点的な実施」とし,PT訓練に反映されなかった場合の理由を5択で「OTに任せればよい」「反映しなくても達成可能」「既に知っていた」「取り組める機能状態でない」「他の優先事項がある」とした.データ収集は,アンケート用紙から,OT目標,PT訓練に関する回答,PTの経験年数を入手し,診療記録から患者の年齢,性別,診断名,在院日数,入院時のFIMとMMSEを入手した.分析方法は,アンケートの選択肢ごとに割合を出した.またOT目標をPT訓練の反映有無により2分類し,患者の要因(FIM・MMSE),療法士の要因(経験年数),OT目標の内容的要因で比較した.内容的要因は,作業のカテゴリーが「移動運動」であるか否か,基本動作の記載有無(例:浴槽内から立ち上がる,トイレまで壁伝いに歩く),数値の記載有無(例:50Mの平地,15cmの段差)とした.その後,PT訓練の反映に影響する因子を探索した.統計処理は,2群比較を尺度に応じてχ二乗検定,Mann-WhitneyのU検定,対応のないt検定を実施した.影響因子の探索は,従属変数をPT訓練の反映有無とし,独立変数を2群比較で有意差を認めた項目としてロジスティック回帰分析を実施した.統計ソフトはEZR ver1.55を使用し有意水準は5%とした.
【結果】入院患者118名のうち,目標設定のできた51名を分析対象とした(75.2±12.3歳,男:女=33:18,脳:整形:難病:内科:廃用=8:8:12:6:17,在院日数30.4±19.4日).目標数は105個で,PT訓練に反映された割合は30.5%(32/105個)であった.アンケートの結果,PT訓練の反映内容は,「新規追加」16%,「内容のアレンジ」37%,「重点的な実施」47%であり,反映されなかった理由は,「OTに任せればよい」42%,「反映しなくても達成可能」30%,「既に知っていた」14%,「取り組める機能状態でない」3%,「他の優先事項がある」11%であった.2群比較(反映あり/反映なし)は,FIM(点)87.6±18.8/83.9±23.0,MMSE(点)26.6±2.7/25.8±3.2,経験年数(年)11.0±5.0/9.8±5.3,目標とした作業のカテゴリーが「移動運動」の割合(%)40.6/31.5,基本動作を含む割合(%)87.5/63.0,数値を含む割合(%)53.1/24.7であり,有意差を認めた項目は,基本動作の有無,数値の有無であった.ロジスティック回帰分析の結果,基本動作の有無と(OR=3.3,95%CI=1.0-10.7,p<0.05),数値の有無(OR=2.9,95%CI=1.2-7.0,p<0.05)が抽出された.
【考察】OT目標をPTと共有する際は,内容に基本動作と数値を含むことで,PT訓練のアレンジや重点的な実施に反映されやすくなると考えた.
【目的】OT目標をPTと共有することで,1)PT訓練に反映された場合の内容,2)PT訓練に反映されなかった場合の理由,3)PT訓練の反映有無に影響する因子とOT目標の特徴を明らかにすることとした.
【方法】対象は,2021年1~12月に当院の亜急性期病棟に入院し,OT目標が設定できた患者とその担当PTとした.本研究は倫理委員会の承認を受け,対象者から書面で同意を得た.手順は,ADOCを用いて目標とする作業を決定し,その作業をどこで誰とどのようにするかを具体的に設定した.それをPTと共有し,退院時までにPT訓練に反映されたかをアンケートに回答してもらった.その際,PT訓練に反映された場合の内容を3択で「新規追加」「内容のアレンジ」「重点的な実施」とし,PT訓練に反映されなかった場合の理由を5択で「OTに任せればよい」「反映しなくても達成可能」「既に知っていた」「取り組める機能状態でない」「他の優先事項がある」とした.データ収集は,アンケート用紙から,OT目標,PT訓練に関する回答,PTの経験年数を入手し,診療記録から患者の年齢,性別,診断名,在院日数,入院時のFIMとMMSEを入手した.分析方法は,アンケートの選択肢ごとに割合を出した.またOT目標をPT訓練の反映有無により2分類し,患者の要因(FIM・MMSE),療法士の要因(経験年数),OT目標の内容的要因で比較した.内容的要因は,作業のカテゴリーが「移動運動」であるか否か,基本動作の記載有無(例:浴槽内から立ち上がる,トイレまで壁伝いに歩く),数値の記載有無(例:50Mの平地,15cmの段差)とした.その後,PT訓練の反映に影響する因子を探索した.統計処理は,2群比較を尺度に応じてχ二乗検定,Mann-WhitneyのU検定,対応のないt検定を実施した.影響因子の探索は,従属変数をPT訓練の反映有無とし,独立変数を2群比較で有意差を認めた項目としてロジスティック回帰分析を実施した.統計ソフトはEZR ver1.55を使用し有意水準は5%とした.
【結果】入院患者118名のうち,目標設定のできた51名を分析対象とした(75.2±12.3歳,男:女=33:18,脳:整形:難病:内科:廃用=8:8:12:6:17,在院日数30.4±19.4日).目標数は105個で,PT訓練に反映された割合は30.5%(32/105個)であった.アンケートの結果,PT訓練の反映内容は,「新規追加」16%,「内容のアレンジ」37%,「重点的な実施」47%であり,反映されなかった理由は,「OTに任せればよい」42%,「反映しなくても達成可能」30%,「既に知っていた」14%,「取り組める機能状態でない」3%,「他の優先事項がある」11%であった.2群比較(反映あり/反映なし)は,FIM(点)87.6±18.8/83.9±23.0,MMSE(点)26.6±2.7/25.8±3.2,経験年数(年)11.0±5.0/9.8±5.3,目標とした作業のカテゴリーが「移動運動」の割合(%)40.6/31.5,基本動作を含む割合(%)87.5/63.0,数値を含む割合(%)53.1/24.7であり,有意差を認めた項目は,基本動作の有無,数値の有無であった.ロジスティック回帰分析の結果,基本動作の有無と(OR=3.3,95%CI=1.0-10.7,p<0.05),数値の有無(OR=2.9,95%CI=1.2-7.0,p<0.05)が抽出された.
【考察】OT目標をPTと共有する際は,内容に基本動作と数値を含むことで,PT訓練のアレンジや重点的な実施に反映されやすくなると考えた.