[PA-2-11] ポスター:脳血管疾患等 2脳卒中急性期におけるAssessment of Motor and Process Skillsの経過~機能的自立度評価表の経過との比較~
【はじめに】
Assessment of Motor and Process Skills(以下,AMPS)は国際的に標準化された観察型のADL/IADL評価法であり,作業遂行能力を評価することができる.AMPSの評価結果はロジットに換算され,地域でどの程度の支援があれば生活することができるか,どのような介入方法が望ましいかといった情報を得ることができるが,脳卒中急性期の活動能力評価としてどのような特徴を持っているのかどうかは検討されていない.本報告の目的は,脳卒中後の対象者のADL評価に多く用いられている機能的自立度評価表(以下,FIM)とAMPSの経過及びその関連性を検討し,脳卒中急性期においてAMPSのもつ特徴を明らかにすることである.
【方法】
対象は2015~2017年にA病院に脳卒中の診断で入院となった者で,発症から14病日以内にAMPSを実施した者とした.倫理的配慮として,A病院でオプトアウトに関する掲示を行った.分析は初回と退院時のAMPSの運動技能,プロセス技能測定値(ロジット),入院時,退院時FIMの運動項目得点,認知項目得点のそれぞれの変化をウィルコクソンの符号付順位和検定で検討した.また,AMPSの各測定値とFIMの各項目と,退院時得点から入院時得点を引いたものを利得とし,AMPSとFIMのそれぞれの項目の利得の関連性をスピアマンの順位相関係数により検討した.
【結果】
対象は10名で,年齢は72.5±9.22歳,入院日数は47.6±7.91日,AMPS評価日は10.1±3.08病日であった.初回のAMPS運動技能は0.23±0.82ロジット,プロセス技能は0.84±0.54ロジット,FIM運動項目は46.1±13.40点,認知項目は23.8±6.21点であった.退院時のAMPS運動技能は1.05±0.63ロジット,プロセス技能は1.26±0.43ロジット,FIM運動項目は76.9±8.4点,認知項目は28.2±4.85点であった.初回と退院時の変化は,それぞれの評価において統計的に有意であった(p<0.01).各項目およびに利得との関連性では,初回の各AMPS技能と各FIM項目,各利得には相関関係を認めず,退院時のAMPS運動技能とFIM運動項目に高い相関(r=0.82,p<0.01),退院時のプロセス技能とFIM認知項目に高い相関(r=0.73,p=0.017)を認めた.
【考察】
入院時と退院時のAMPS技能,FIM得点の変化は統計的に有意であった.退院時のAMPS技能とFIM得点間に高い関連性を認めたが,初回AMPS技能と入院時FIM得点および各利得には関連性があるとはいえなかった.先行研究では,入・退院時のAMPS技能とFIM得点に弱~中程度の相関があったが,それぞれの利得間には相関を認めなかったとしている(Fioravanti,2012).今回の調査で初回のAMPSとFIMの評価日が異なった影響を考慮すると,概ね類似した結果になったものと考えられる.今後はバイアスの軽減を図った上で,AMPSとFIMの反応性の相違を検討し,脳卒中急性期におけるAMPSの特徴の詳細を明らかにしていきたい.
Assessment of Motor and Process Skills(以下,AMPS)は国際的に標準化された観察型のADL/IADL評価法であり,作業遂行能力を評価することができる.AMPSの評価結果はロジットに換算され,地域でどの程度の支援があれば生活することができるか,どのような介入方法が望ましいかといった情報を得ることができるが,脳卒中急性期の活動能力評価としてどのような特徴を持っているのかどうかは検討されていない.本報告の目的は,脳卒中後の対象者のADL評価に多く用いられている機能的自立度評価表(以下,FIM)とAMPSの経過及びその関連性を検討し,脳卒中急性期においてAMPSのもつ特徴を明らかにすることである.
【方法】
対象は2015~2017年にA病院に脳卒中の診断で入院となった者で,発症から14病日以内にAMPSを実施した者とした.倫理的配慮として,A病院でオプトアウトに関する掲示を行った.分析は初回と退院時のAMPSの運動技能,プロセス技能測定値(ロジット),入院時,退院時FIMの運動項目得点,認知項目得点のそれぞれの変化をウィルコクソンの符号付順位和検定で検討した.また,AMPSの各測定値とFIMの各項目と,退院時得点から入院時得点を引いたものを利得とし,AMPSとFIMのそれぞれの項目の利得の関連性をスピアマンの順位相関係数により検討した.
【結果】
対象は10名で,年齢は72.5±9.22歳,入院日数は47.6±7.91日,AMPS評価日は10.1±3.08病日であった.初回のAMPS運動技能は0.23±0.82ロジット,プロセス技能は0.84±0.54ロジット,FIM運動項目は46.1±13.40点,認知項目は23.8±6.21点であった.退院時のAMPS運動技能は1.05±0.63ロジット,プロセス技能は1.26±0.43ロジット,FIM運動項目は76.9±8.4点,認知項目は28.2±4.85点であった.初回と退院時の変化は,それぞれの評価において統計的に有意であった(p<0.01).各項目およびに利得との関連性では,初回の各AMPS技能と各FIM項目,各利得には相関関係を認めず,退院時のAMPS運動技能とFIM運動項目に高い相関(r=0.82,p<0.01),退院時のプロセス技能とFIM認知項目に高い相関(r=0.73,p=0.017)を認めた.
【考察】
入院時と退院時のAMPS技能,FIM得点の変化は統計的に有意であった.退院時のAMPS技能とFIM得点間に高い関連性を認めたが,初回AMPS技能と入院時FIM得点および各利得には関連性があるとはいえなかった.先行研究では,入・退院時のAMPS技能とFIM得点に弱~中程度の相関があったが,それぞれの利得間には相関を認めなかったとしている(Fioravanti,2012).今回の調査で初回のAMPSとFIMの評価日が異なった影響を考慮すると,概ね類似した結果になったものと考えられる.今後はバイアスの軽減を図った上で,AMPSとFIMの反応性の相違を検討し,脳卒中急性期におけるAMPSの特徴の詳細を明らかにしていきたい.