[PA-9-5] ポスター:脳血管疾患等 9若年性脳血管障害に対するmodified CI療法の実践と効果
【序論】
若年性脳血管障害の発生頻度は少なく,当院では稀な疾患である.CI療法は「脳卒中治療ガイドライン2021」で推奨度A・エビデンスレベル高で勧められている.竹林らが慢性期脳損傷児(11歳)に,宮部らが小児脳梗塞症例(8歳)に対してCI療法を実施し上肢機能の改善を報告しているが,若年性脳血管障害後にCI療法を実施した症例報告数は少ない.
【目的】
若年性脳血管障害後にmodified CI療法(以下,mCI療法)を実施し,上肢機能の改善と自宅や学校環境における課題遂行能力の改善が認められた症例を経験したため報告をする.
【方法】
対象は男性で,15歳時に脳動静脈奇形破裂による脳出血を発症し,四肢麻痺を呈した.発症1カ月後に急性期治療が終了し,回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟へ転棟した.発症6カ月後に自宅退院し,発症7カ月後に特別支援学校へ復学した.発症9カ月後(FIM合計117点・高次脳機能障害なし)の夏季休暇に,外来リハ(理学療法・作業療法・言語聴覚療法)を実施した.左非利き手の機能低下がみられ生活の困難さがあったため,mCI療法を2週間実施した.mCI療法は,個別療法1.5時間+自主練習1.5時間を連続した平日10日間に実施した.個別療法の内容は,課題指向型練習と麻痺手使用を促す行動的戦略Transfer Package(TP)を実施した.自宅や学校生活におけるTPは,母親と担任教員に協力を依頼した.評価は外来リハ実施前/mCI療法実施2週間後/1カ月後(外来リハ終了時)/3カ月後(外来リハ終了2カ月後)に,簡易上肢機能検査(STEF)・Fugl-Meyer Assessment(FMA)・Motor Activity Log-Amount of Use(MAL-AOU)を使用した.また,カナダ作業遂行測定(COPM)を外来リハ実施前/3カ月後に実施した.倫理的配慮は当院倫理委員会の承認を得て実施した.対象者には同意書を用いて説明し実施した.
【結果】
外来リハ実施前/mCI療法実施2週間後/1カ月後/3カ月後の評価は,STEF左42/59/63/62点.FMA左62/63/63/64点.MAL-AOU(平均値)左2.4/3.3/3.6/4.5.また,外来リハ実施前/3カ月後のCOPM遂行度は,①左手で茶碗を把持して食事をする4/10,②両手でトレーを持って給食を運ぶ1/10,③定規を左手で押さえて線を引く1/10,④上着のボタンやファスナーを操作する1/10,⑤パソコンを両手で打つ7/10,満足度①4/9,②1/9,③1/9,④1/8,⑤6/9であった.
【考察】
若年性脳血管障害後に実施したmCI療法は効果がみられた.自己管理が十分にできない若年性症例に対し,母親と担任教員から自宅や学校生活状況を聴取したことで,目標設定や具体的な課題指向型練習の実施ができ,症例のモチベーションの維持につながった.Taubらは,小児のCI療法の効果の持続には,両親が家庭で麻痺手使用を促すことが重要であると述べている.TPの実施では,母親と担任教員の協力を得たことが,外来リハ終了後も機能維持と自宅や学校環境における課題遂行能力の改善に影響したと考えた.
若年性脳血管障害の発生頻度は少なく,当院では稀な疾患である.CI療法は「脳卒中治療ガイドライン2021」で推奨度A・エビデンスレベル高で勧められている.竹林らが慢性期脳損傷児(11歳)に,宮部らが小児脳梗塞症例(8歳)に対してCI療法を実施し上肢機能の改善を報告しているが,若年性脳血管障害後にCI療法を実施した症例報告数は少ない.
【目的】
若年性脳血管障害後にmodified CI療法(以下,mCI療法)を実施し,上肢機能の改善と自宅や学校環境における課題遂行能力の改善が認められた症例を経験したため報告をする.
【方法】
対象は男性で,15歳時に脳動静脈奇形破裂による脳出血を発症し,四肢麻痺を呈した.発症1カ月後に急性期治療が終了し,回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟へ転棟した.発症6カ月後に自宅退院し,発症7カ月後に特別支援学校へ復学した.発症9カ月後(FIM合計117点・高次脳機能障害なし)の夏季休暇に,外来リハ(理学療法・作業療法・言語聴覚療法)を実施した.左非利き手の機能低下がみられ生活の困難さがあったため,mCI療法を2週間実施した.mCI療法は,個別療法1.5時間+自主練習1.5時間を連続した平日10日間に実施した.個別療法の内容は,課題指向型練習と麻痺手使用を促す行動的戦略Transfer Package(TP)を実施した.自宅や学校生活におけるTPは,母親と担任教員に協力を依頼した.評価は外来リハ実施前/mCI療法実施2週間後/1カ月後(外来リハ終了時)/3カ月後(外来リハ終了2カ月後)に,簡易上肢機能検査(STEF)・Fugl-Meyer Assessment(FMA)・Motor Activity Log-Amount of Use(MAL-AOU)を使用した.また,カナダ作業遂行測定(COPM)を外来リハ実施前/3カ月後に実施した.倫理的配慮は当院倫理委員会の承認を得て実施した.対象者には同意書を用いて説明し実施した.
【結果】
外来リハ実施前/mCI療法実施2週間後/1カ月後/3カ月後の評価は,STEF左42/59/63/62点.FMA左62/63/63/64点.MAL-AOU(平均値)左2.4/3.3/3.6/4.5.また,外来リハ実施前/3カ月後のCOPM遂行度は,①左手で茶碗を把持して食事をする4/10,②両手でトレーを持って給食を運ぶ1/10,③定規を左手で押さえて線を引く1/10,④上着のボタンやファスナーを操作する1/10,⑤パソコンを両手で打つ7/10,満足度①4/9,②1/9,③1/9,④1/8,⑤6/9であった.
【考察】
若年性脳血管障害後に実施したmCI療法は効果がみられた.自己管理が十分にできない若年性症例に対し,母親と担任教員から自宅や学校生活状況を聴取したことで,目標設定や具体的な課題指向型練習の実施ができ,症例のモチベーションの維持につながった.Taubらは,小児のCI療法の効果の持続には,両親が家庭で麻痺手使用を促すことが重要であると述べている.TPの実施では,母親と担任教員の協力を得たことが,外来リハ終了後も機能維持と自宅や学校環境における課題遂行能力の改善に影響したと考えた.