[PB-1-4] ポスター:心大血管疾患 1急性期腹部大動脈瘤破裂後患者に対して意味のある作業のバドミントンを導入した一事例
【序論】意味のある作業への参加は,健康関連QOLに好影響を及ぼす可能性があるとされている(今井忠則ら2019).近年,作業中心の実践による報告が散見されるが,急性期心大血管術後患者に対する作業中心の実践報告は少ない.今回,腹部大動脈瘤破裂後に脊髄障害を合併した患者に対し,急性期より作業中心の実践を行った所,抑うつの軽減,高い満足度での趣味活動再獲得に繋がった事例を経験した.本報告では,急性期心大血管術後患者に対する,作業中心の実践効果について考察を交えて報告する.本報告はご本人様の同意を得ている.
【症例紹介】A氏,50代男性.妻と同居.職業,印刷業.趣味はバドミントンで,練習頻度は週2回.地域の大会への出場を楽しみにしている.「皆とやるから楽しい」,「バドミントンは生きがいの1つ」等の発言あり.X年Y月Z日,腹部大動脈瘤破裂にて当院救急搬送.同日,緊急で人工血管置換術施行.Z+1日,脊髄障害所見あり脊髄ドレナージ施行.安静度,収縮期血圧170mmHg以下管理の指示にてICUで理学療法開始.Z+6日一般病棟へ転棟し,作業療法開始となる.
【初期評価】安静時より頚部痛(NRS7),術創部痛(NRS8)あり.MMT両上肢5,左下肢4,右下肢3.右下肢の痺れ,表在覚中等度鈍麻(4/10)あり.基本動作軽介助.FIM76点(運動項目41点,認知項目35点).Self-rating Depression Scale(以下,SDS)43点と軽度抑うつを認めた.カナダ作業遂行測定(以下,COPM),「何も使わず歩けるようになる」(重要度10,遂行度1,満足度5),「運転をする」(重要度10,遂行度1,満足度1),「バドミントンをする」(重要度10,遂行度1,満足度1).COPMより,長期目標を復職とバドミントン再開,短期目標を病棟内ADL自立に設定.
【経過】Z+9日,付き添い歩行でトイレ誘導開始.頚部痛(NRS2),術創部痛(NRS4).感覚障害軽減.Z+11日,血圧変動に留意し,バドミントン動作再獲得に向けた訓練開始.Z+18日,頚部痛消失,術創部痛(NRS2).右下肢MMT4へ改善し,病棟内ADL自立.血圧変動,術創部に留意し,ラケットを使用したバドミントン動作訓練開始.X+25日,自宅退院となる.
【結果】退院時,術創部痛(NRS1).MMT両上肢,左下肢5,右下肢4.右下肢の痺れ残存.表在覚軽度鈍麻(8/10).基本動作自立.FIM126点(運動項目91点,認知項目35点).SDS35点と抑うつ改善.COPM,「何も使わず歩けるようになる」(遂行度8,満足度8),「運転をする」(遂行度1,満足度7),「バドミントンをする」(遂行度5,満足度5).退院後,初回医師外来診察時(X+56日),SDS25点,COPM,「何も使わず歩けるようになる」(遂行度10,満足度8),「運転をする」(遂行度5,満足度8),「バドミントンをする」(遂行度5,満足度5).定期医師外来診察時(X+130日),SDS22点,COPM,「何も使わず歩けるようになる」(遂行度10,満足度10),「運転をする」(遂行度10,満足度10),「バドミントンをする」(遂行度10,満足度8).復職もできており,週2回程バドミントンの練習に参加できるようになった.
【考察】脊髄損傷患者に対して,積極的なリハビリテーションが推奨される(田島文博2016).しかし,脊髄損傷患者は抑うつを呈する事があり(金蘭姫1997),抑うつは,リハビリテーションの阻害因子となる事から,その対応が重要視される.本事例は着実な短期目標の達成,生きがいであったバドミントンを再開し,再び楽しめるようになった事が抑うつの軽減,積極的なリハビリテーション参加の一因になったと考える.急性期心大血管術後患者に対する,作業中心の実践は,抑うつの軽減,積極的なリハビリテーション参加を促す可能性が示唆された.
【症例紹介】A氏,50代男性.妻と同居.職業,印刷業.趣味はバドミントンで,練習頻度は週2回.地域の大会への出場を楽しみにしている.「皆とやるから楽しい」,「バドミントンは生きがいの1つ」等の発言あり.X年Y月Z日,腹部大動脈瘤破裂にて当院救急搬送.同日,緊急で人工血管置換術施行.Z+1日,脊髄障害所見あり脊髄ドレナージ施行.安静度,収縮期血圧170mmHg以下管理の指示にてICUで理学療法開始.Z+6日一般病棟へ転棟し,作業療法開始となる.
【初期評価】安静時より頚部痛(NRS7),術創部痛(NRS8)あり.MMT両上肢5,左下肢4,右下肢3.右下肢の痺れ,表在覚中等度鈍麻(4/10)あり.基本動作軽介助.FIM76点(運動項目41点,認知項目35点).Self-rating Depression Scale(以下,SDS)43点と軽度抑うつを認めた.カナダ作業遂行測定(以下,COPM),「何も使わず歩けるようになる」(重要度10,遂行度1,満足度5),「運転をする」(重要度10,遂行度1,満足度1),「バドミントンをする」(重要度10,遂行度1,満足度1).COPMより,長期目標を復職とバドミントン再開,短期目標を病棟内ADL自立に設定.
【経過】Z+9日,付き添い歩行でトイレ誘導開始.頚部痛(NRS2),術創部痛(NRS4).感覚障害軽減.Z+11日,血圧変動に留意し,バドミントン動作再獲得に向けた訓練開始.Z+18日,頚部痛消失,術創部痛(NRS2).右下肢MMT4へ改善し,病棟内ADL自立.血圧変動,術創部に留意し,ラケットを使用したバドミントン動作訓練開始.X+25日,自宅退院となる.
【結果】退院時,術創部痛(NRS1).MMT両上肢,左下肢5,右下肢4.右下肢の痺れ残存.表在覚軽度鈍麻(8/10).基本動作自立.FIM126点(運動項目91点,認知項目35点).SDS35点と抑うつ改善.COPM,「何も使わず歩けるようになる」(遂行度8,満足度8),「運転をする」(遂行度1,満足度7),「バドミントンをする」(遂行度5,満足度5).退院後,初回医師外来診察時(X+56日),SDS25点,COPM,「何も使わず歩けるようになる」(遂行度10,満足度8),「運転をする」(遂行度5,満足度8),「バドミントンをする」(遂行度5,満足度5).定期医師外来診察時(X+130日),SDS22点,COPM,「何も使わず歩けるようになる」(遂行度10,満足度10),「運転をする」(遂行度10,満足度10),「バドミントンをする」(遂行度10,満足度8).復職もできており,週2回程バドミントンの練習に参加できるようになった.
【考察】脊髄損傷患者に対して,積極的なリハビリテーションが推奨される(田島文博2016).しかし,脊髄損傷患者は抑うつを呈する事があり(金蘭姫1997),抑うつは,リハビリテーションの阻害因子となる事から,その対応が重要視される.本事例は着実な短期目標の達成,生きがいであったバドミントンを再開し,再び楽しめるようになった事が抑うつの軽減,積極的なリハビリテーション参加の一因になったと考える.急性期心大血管術後患者に対する,作業中心の実践は,抑うつの軽減,積極的なリハビリテーション参加を促す可能性が示唆された.