[PC-1-4] ポスター:呼吸器疾患 1統合失調症の既往歴があるCOVID-19患者に対し自己管理を行い,家事再開を行った1事例
【はじめに】回復期リハビリテーション病棟(回リハ病棟)は,主体的な地域生活の再構築・適応できるように具体的で段階的な計画を行うことが望ましいとされている.今回,回リハ病棟にて精神疾患合併のCOVID-19患者へ自宅退院・家事再開を目標として介入と入院中に母の死への受け入れへに向けた介入を多職種と共に実施した事例を報告する.
【倫理的配慮】症例とその家族に書面にて了承を得ている.
【症例紹介】60歳代女性,統合失調症と糖尿病の既往歴あり.要介護状態の母と姉夫婦との4人暮らしで,介護と家事を行っていた.27年前から妄想症状出現し精神科病棟へ入院歴あり,その後2度の医療保護入院(22年前・8年前と合計3回)あり.退院後は精神科外来通院・内服継続していた.母がCOVID-19陽性,2日後に本人・姉も陽性.自宅療養中にSpO2が90%を下回り,保健所の判断で急性期病院へ入院.入院当日からネザールハイフロー開始,発症24日に離脱,ネザールカヌラ1L/min使用と投薬治療を行った.発症54日に当院回リハ病棟へ転院.急性期病院にて状態の悪化した母と数日間同室となった.その後母は回リハ病棟転院前に他界し,本人へは未告知としていた.
【初回評価】精神状態落ち着いているが,右上下肢の振戦あり.酸素吸入はなく,安静時脈拍70~85回/分,SpO293~95%,労作時脈拍100~120回/分,SpO289~93%.基本動作自立だが臥床傾向.握力16.0kg,フリーハンド歩行40m可能(BorgScale13).Functional Independence Measure(FIM)は79点,病棟内移動は車いす移動介助.本人の希望は「前のように家事がしたい,母の世話をしたい」家族の希望は「元のように生活ができるようになって欲しい」であった.
【介入基本方針】多職種カンファレンスにて,呼吸器症状の自己管理を行いつつ,体力向上を図り自宅復帰を方針とした.精神状態に対しては当院の精神科リエゾンチームに評価・介入を依頼することとなった.
【経過】呼吸苦に対して,シルベスター法を歩行中に意識するように伝え,自主練習は胸郭の柔軟性向上を図るために棒体操を指導した.体力向上に対して,起立練習などの筋力増強練習やBorgScaleとパルスオキシメーターを活用し,バイタルサイン(VS)での目安を確認し歩行練習を行った.家事などの生活動作・屋外歩行においてもVSを確認し休息のタイミングを図りながら実施した.退院前に再度本人・家族へ,自主練習や呼吸苦に対しての生活上での工夫を伝えた.退院1週間前に,姉より母の他界を伝えたが,本人は以前から察していたようで,「帰る前に知れてよかった」と涙を流しながら,母との思い出を話した.適宜,回リハ病棟と精神科リエゾンチームの多職種により傾聴を行い精神症状の観察を行った.
【結果】退院時には「良くなれたから,母の分まで頑張りたい」と発言あり,精神状態も落ち着いていた.酸素吸入なく,安静時脈拍60~70回/分,SpO294~96%,労作時脈拍100~120回/分,SpO291~93%.基本動作自立.病棟内で自主練習を行う様子が見られた.握力19.5kg.フリーハンド歩行1000m可能(BorgScale13).FIMは123点,病棟内移動はフリーハンド自立となった.退院1か月後も精神症状落ち着いており,姉と一緒に家事再開した.
【考察】回リハ病棟において様々な疾患を背景に持つ患者に対し,多職種にて介入することにより,自宅退院・家事再開に繋がったと考える.精神疾患合併のCOVID-19患者に対しても具体的かつ段階的な介入が重要であると示唆された.
【倫理的配慮】症例とその家族に書面にて了承を得ている.
【症例紹介】60歳代女性,統合失調症と糖尿病の既往歴あり.要介護状態の母と姉夫婦との4人暮らしで,介護と家事を行っていた.27年前から妄想症状出現し精神科病棟へ入院歴あり,その後2度の医療保護入院(22年前・8年前と合計3回)あり.退院後は精神科外来通院・内服継続していた.母がCOVID-19陽性,2日後に本人・姉も陽性.自宅療養中にSpO2が90%を下回り,保健所の判断で急性期病院へ入院.入院当日からネザールハイフロー開始,発症24日に離脱,ネザールカヌラ1L/min使用と投薬治療を行った.発症54日に当院回リハ病棟へ転院.急性期病院にて状態の悪化した母と数日間同室となった.その後母は回リハ病棟転院前に他界し,本人へは未告知としていた.
【初回評価】精神状態落ち着いているが,右上下肢の振戦あり.酸素吸入はなく,安静時脈拍70~85回/分,SpO293~95%,労作時脈拍100~120回/分,SpO289~93%.基本動作自立だが臥床傾向.握力16.0kg,フリーハンド歩行40m可能(BorgScale13).Functional Independence Measure(FIM)は79点,病棟内移動は車いす移動介助.本人の希望は「前のように家事がしたい,母の世話をしたい」家族の希望は「元のように生活ができるようになって欲しい」であった.
【介入基本方針】多職種カンファレンスにて,呼吸器症状の自己管理を行いつつ,体力向上を図り自宅復帰を方針とした.精神状態に対しては当院の精神科リエゾンチームに評価・介入を依頼することとなった.
【経過】呼吸苦に対して,シルベスター法を歩行中に意識するように伝え,自主練習は胸郭の柔軟性向上を図るために棒体操を指導した.体力向上に対して,起立練習などの筋力増強練習やBorgScaleとパルスオキシメーターを活用し,バイタルサイン(VS)での目安を確認し歩行練習を行った.家事などの生活動作・屋外歩行においてもVSを確認し休息のタイミングを図りながら実施した.退院前に再度本人・家族へ,自主練習や呼吸苦に対しての生活上での工夫を伝えた.退院1週間前に,姉より母の他界を伝えたが,本人は以前から察していたようで,「帰る前に知れてよかった」と涙を流しながら,母との思い出を話した.適宜,回リハ病棟と精神科リエゾンチームの多職種により傾聴を行い精神症状の観察を行った.
【結果】退院時には「良くなれたから,母の分まで頑張りたい」と発言あり,精神状態も落ち着いていた.酸素吸入なく,安静時脈拍60~70回/分,SpO294~96%,労作時脈拍100~120回/分,SpO291~93%.基本動作自立.病棟内で自主練習を行う様子が見られた.握力19.5kg.フリーハンド歩行1000m可能(BorgScale13).FIMは123点,病棟内移動はフリーハンド自立となった.退院1か月後も精神症状落ち着いており,姉と一緒に家事再開した.
【考察】回リハ病棟において様々な疾患を背景に持つ患者に対し,多職種にて介入することにより,自宅退院・家事再開に繋がったと考える.精神疾患合併のCOVID-19患者に対しても具体的かつ段階的な介入が重要であると示唆された.