[PC-3-4] ポスター:呼吸器疾患 3間質性肺炎と心不全増悪を合併した事例に対する回復期での作業療法の経験
【はじめに】
呼吸不全や心不全における作業療法(OT)の役割は,患者の動作能力と社会適応能力を向上させ,日常・社会活動の自立を早期に獲得できるように支援することである.しかし内部障害へのOTの報告は少なく,今後の積極的な介入が期待されている.今回,心不全増悪,間質性肺炎増悪し,重度身体機能低下,心理的不安を認めた患者を担当する機会を得た.その経過に若干の考察を加え報告する.なお,本報告に際し当院倫理委員会での承諾と事例の同意を得ている.
【症例紹介】
70代女性,夫と二人暮らし.既往に間質性肺炎はあったが通院や内服も無く,問題なく生活は自立されていた.20XY年1月に呼吸困難を主訴に急性期病院に救急搬送され間質性肺炎の増悪,急性心不全の診断となった.ICUにて気管内挿管やペースメーカー植え込み術を行い,67病日目に当院回復期病院にリハビリテーション(リハ)目的に入院となりOT,理学療法(PT)が処方された.
【初期評価】
身体機能は関節可動域は四肢体幹ともに制限なし.筋力ではMMT両上肢,下肢2,握力右8kg,左5kg,感覚は正常.6分間歩行距離は不可,認知機能はMMSE-J:29/30点.心理面は以前のように生活したいけど無理かな . 諦めや心理的な不安の発言あり .FIM:61 点 , トイレ , 移乗動作 2 人介助レベル .NTproBNP1788pg/ml.画像所見:両側肺野に浸潤像あり,心胸比:62%.
【経過】
当院入院初日は,重度の身体機能低下に伴いActivities of Daily Living(ADL)場面の僅かな動作でSpO2は90%以下まで低下し,息切れ,疲労感を認め重度介助要していた.心理面では今後の生活に不安も聞かれた. リハでは筋力訓練,歩行訓練などの運動療法を身体機能改善に合わせてOT,PT共に実施した.トイレ動作時の座位姿勢では,前傾姿勢になり,移乗,立ち上がり後に疲労感を認めたため,便座にもたれながらの座位保持,動作後の適宜休憩を指導した.入浴動作では連続的に動作しSpO2も90%以下に低下し易くい状態であった.そこで呼吸の仕方,上肢挙上を抑える動作,スピードの指導,自助具の提供や,物品をまとめて適切な場所に置くなど環境設定を行った.更衣動作は座位で行うように指導し,姿勢では体幹前傾に注意し,適宜休憩するよう指導し107病日目に車椅子でADL自立となった.そこで自宅退院を見据えて調理訓練を取り入れたが,体力,身体機能的に自信がなく心理的不安があり消極的だった.そこで入院生活での楽しみを持ち,心理的不安を軽減させ,成功体験を経験させる目的にエコクラフトを導入した.エコクラフトを行って生活に楽しみを持ち,自発的に行うまでになった.のちに生活場面で笑顔が見られ始め,前向きになり調理訓練に取り組めるようになった.自宅環境を模擬的に設定し調理器具使用時の動作指導,環境設定を行った.
【結果】
身体機能は筋力,MMT両上肢4,両下肢4,握力右12.8kg,左8.4kgと向上した.6分間歩行距離は250m.ADLではFIM:124点と独歩でのADL, Instrumental Activities of Daily Living(IADL)場面で自己管理も含め病前生活まで改善し,153病日目にデイケアに繋げ自宅退院となった.
【考察】
本事例がADL,IADL,心理的不安の改善に至った要因は ①運動療法にて運動耐用能,筋力増加,最大酸素摂取量増加などの改善,②ADL,IADL場面で休憩や,呼吸と動作の指導,動作の簡略化,自助具の選定,環境設定を適時適切に行ったこと,③心理的不安にも目を向け作業活動を取り入れたことと考える.今後は専門的かつ包括的に他職種,地域と連携し日常・社会活動の自立を獲得できるよう支援していく必要がある.
呼吸不全や心不全における作業療法(OT)の役割は,患者の動作能力と社会適応能力を向上させ,日常・社会活動の自立を早期に獲得できるように支援することである.しかし内部障害へのOTの報告は少なく,今後の積極的な介入が期待されている.今回,心不全増悪,間質性肺炎増悪し,重度身体機能低下,心理的不安を認めた患者を担当する機会を得た.その経過に若干の考察を加え報告する.なお,本報告に際し当院倫理委員会での承諾と事例の同意を得ている.
【症例紹介】
70代女性,夫と二人暮らし.既往に間質性肺炎はあったが通院や内服も無く,問題なく生活は自立されていた.20XY年1月に呼吸困難を主訴に急性期病院に救急搬送され間質性肺炎の増悪,急性心不全の診断となった.ICUにて気管内挿管やペースメーカー植え込み術を行い,67病日目に当院回復期病院にリハビリテーション(リハ)目的に入院となりOT,理学療法(PT)が処方された.
【初期評価】
身体機能は関節可動域は四肢体幹ともに制限なし.筋力ではMMT両上肢,下肢2,握力右8kg,左5kg,感覚は正常.6分間歩行距離は不可,認知機能はMMSE-J:29/30点.心理面は以前のように生活したいけど無理かな . 諦めや心理的な不安の発言あり .FIM:61 点 , トイレ , 移乗動作 2 人介助レベル .NTproBNP1788pg/ml.画像所見:両側肺野に浸潤像あり,心胸比:62%.
【経過】
当院入院初日は,重度の身体機能低下に伴いActivities of Daily Living(ADL)場面の僅かな動作でSpO2は90%以下まで低下し,息切れ,疲労感を認め重度介助要していた.心理面では今後の生活に不安も聞かれた. リハでは筋力訓練,歩行訓練などの運動療法を身体機能改善に合わせてOT,PT共に実施した.トイレ動作時の座位姿勢では,前傾姿勢になり,移乗,立ち上がり後に疲労感を認めたため,便座にもたれながらの座位保持,動作後の適宜休憩を指導した.入浴動作では連続的に動作しSpO2も90%以下に低下し易くい状態であった.そこで呼吸の仕方,上肢挙上を抑える動作,スピードの指導,自助具の提供や,物品をまとめて適切な場所に置くなど環境設定を行った.更衣動作は座位で行うように指導し,姿勢では体幹前傾に注意し,適宜休憩するよう指導し107病日目に車椅子でADL自立となった.そこで自宅退院を見据えて調理訓練を取り入れたが,体力,身体機能的に自信がなく心理的不安があり消極的だった.そこで入院生活での楽しみを持ち,心理的不安を軽減させ,成功体験を経験させる目的にエコクラフトを導入した.エコクラフトを行って生活に楽しみを持ち,自発的に行うまでになった.のちに生活場面で笑顔が見られ始め,前向きになり調理訓練に取り組めるようになった.自宅環境を模擬的に設定し調理器具使用時の動作指導,環境設定を行った.
【結果】
身体機能は筋力,MMT両上肢4,両下肢4,握力右12.8kg,左8.4kgと向上した.6分間歩行距離は250m.ADLではFIM:124点と独歩でのADL, Instrumental Activities of Daily Living(IADL)場面で自己管理も含め病前生活まで改善し,153病日目にデイケアに繋げ自宅退院となった.
【考察】
本事例がADL,IADL,心理的不安の改善に至った要因は ①運動療法にて運動耐用能,筋力増加,最大酸素摂取量増加などの改善,②ADL,IADL場面で休憩や,呼吸と動作の指導,動作の簡略化,自助具の選定,環境設定を適時適切に行ったこと,③心理的不安にも目を向け作業活動を取り入れたことと考える.今後は専門的かつ包括的に他職種,地域と連携し日常・社会活動の自立を獲得できるよう支援していく必要がある.