[PD-6-4] ポスター:運動器疾患 6関節リウマチに伴う手指伸筋腱皮下断裂例に対しICAM法の導入と動作指導を行った一例
【はじめに】関節リウマチ患者の手指伸筋腱皮下断裂例に対し,可動域獲得を目的にImmediate Controlled Active Motion(ICAM法)を導入し,動作指導を一部行ったため報告する.尚,発表に際し症例より同意及び本法人の研究倫理審査委員会の承認を得ている.
【対象】70歳代女性,主婦.診断名は右関節リウマチ性手関節炎,右環小指伸筋腱断裂(ZoneⅦ).現病歴は,右手環小指に伸展不全を自覚し受診.その後手術目的で当院入院となった.術前評価では環指MP関節伸展-42°小指MP関節伸展-80°であった.手術は尺骨遠位部を1.5cmと2.0cmで骨切りし遠位橈尺関節を固定(Sauve-Kapandji法).環小指伸筋腱を中指伸筋腱に編み込み縫合を施行した.
【方法】手術後翌日より介入し,ICAM法に準じ日中は手関節20度背屈位でのカックアップ装具と縫合腱を減張させ手指に装着するYokeという装具を作成し,手指の自動屈曲伸展運動を開始した.併せて拘縮除去と伸展不全有無の確認を適宜行った.夜間は手指伸展固定装具を作成した.術後3週でカックアップ装具を除去し,術後4週で自宅退院した.退院時に手関節と前腕,手指の自動運動を含む自主トレーニングを指導し,週1回の頻度で外来リハビリを継続した.術後6週で自主訓練時もYokeを外し,術後7週でYokeと夜間装具を除去した.術後12週でADL上での使用制限を解除し調理での食器洗いでの持ち方,鍋蓋の取り方等や荷物運搬を前腕回内位で行わないこと,活動の目安をこわばり感が出現しない程度とし休息も含め随時指導を行った.術後18週で外来リハビリを終了とした.
【結果】手関節掌屈25°背屈40°前腕回外90°回内90°で術前と差はなかった.術後4週時TAM(環指/小指):212°/212°,最終TAM:246°/240°.最終% TAM:98%/96%であった.最終時伸展不全は環指DIP-10°,小指MP関節-10°残存した.握力(右/左):術前15Kg/21.5Kgで術後18Kg/左23.5Kg,健側比:術前70%で術後76.6%.ピンチ力:指先つまみ(環指/小指);右26/6N,左30/12N.3指つまみ:右58/左60N,指横つまみ:右50/左58Nであった.DASH score:disability;術前26.1が23.3点,HAND20:術前38.2点が9点となり力仕事以外の洗顔や洗濯干し等の項目で向上を認めた.
【考察】ICAM法はYoke装具を装着し術後から自動屈曲と自動伸展運動を開始する方法で,縫合腱への張力減少,縫合腱の滑走を制限するコンセプトとしてZoneⅣ~Ⅶ損傷に用いられる.(Howellら,2005)また,リウマチ患者の伸筋腱修復例にも適応があるとの報告も散見される.また,Reversed Kleinert法と比べ装具形状もシンプルで屈曲制限を設けず,近位への滑走が適度にあるのが利点である.本例も遠方からの外来通院でリハビリ頻度低減が予測されたため,装具管理が簡便な本法が適したと考えた.加えて,術後早期より伸展を維持しつつ屈曲可動域獲得に努めたことで,伸展不全や拘縮発生を予防でき主婦としての役割獲得に至ったと考えた.大原らは,尺骨骨切り術後に,前腕回内位で掌側や尺側に負荷をかけた場合に尺骨近位切除断端がEDC腱に触れる位置に移動し,それを繰り返すことで伸筋腱断裂リスクが増大する可能性を示唆した(大原ら,2020).これを参考に本例の経過に合せて前腕回外位で荷物を持つ等の動作指導を行い修復腱の再断裂や健側肢の断裂予防に努めたことで実用的な手の使用に至ったと考えた.
【結語】関節リウマチ患者の手指伸筋腱皮下断裂例にICAM法を導入したことで良好な可動域を獲得し,その後の動作指導まで行った.ICAM法の導入と再断裂のリスクを踏まえた動作指導は有効であった.
【対象】70歳代女性,主婦.診断名は右関節リウマチ性手関節炎,右環小指伸筋腱断裂(ZoneⅦ).現病歴は,右手環小指に伸展不全を自覚し受診.その後手術目的で当院入院となった.術前評価では環指MP関節伸展-42°小指MP関節伸展-80°であった.手術は尺骨遠位部を1.5cmと2.0cmで骨切りし遠位橈尺関節を固定(Sauve-Kapandji法).環小指伸筋腱を中指伸筋腱に編み込み縫合を施行した.
【方法】手術後翌日より介入し,ICAM法に準じ日中は手関節20度背屈位でのカックアップ装具と縫合腱を減張させ手指に装着するYokeという装具を作成し,手指の自動屈曲伸展運動を開始した.併せて拘縮除去と伸展不全有無の確認を適宜行った.夜間は手指伸展固定装具を作成した.術後3週でカックアップ装具を除去し,術後4週で自宅退院した.退院時に手関節と前腕,手指の自動運動を含む自主トレーニングを指導し,週1回の頻度で外来リハビリを継続した.術後6週で自主訓練時もYokeを外し,術後7週でYokeと夜間装具を除去した.術後12週でADL上での使用制限を解除し調理での食器洗いでの持ち方,鍋蓋の取り方等や荷物運搬を前腕回内位で行わないこと,活動の目安をこわばり感が出現しない程度とし休息も含め随時指導を行った.術後18週で外来リハビリを終了とした.
【結果】手関節掌屈25°背屈40°前腕回外90°回内90°で術前と差はなかった.術後4週時TAM(環指/小指):212°/212°,最終TAM:246°/240°.最終% TAM:98%/96%であった.最終時伸展不全は環指DIP-10°,小指MP関節-10°残存した.握力(右/左):術前15Kg/21.5Kgで術後18Kg/左23.5Kg,健側比:術前70%で術後76.6%.ピンチ力:指先つまみ(環指/小指);右26/6N,左30/12N.3指つまみ:右58/左60N,指横つまみ:右50/左58Nであった.DASH score:disability;術前26.1が23.3点,HAND20:術前38.2点が9点となり力仕事以外の洗顔や洗濯干し等の項目で向上を認めた.
【考察】ICAM法はYoke装具を装着し術後から自動屈曲と自動伸展運動を開始する方法で,縫合腱への張力減少,縫合腱の滑走を制限するコンセプトとしてZoneⅣ~Ⅶ損傷に用いられる.(Howellら,2005)また,リウマチ患者の伸筋腱修復例にも適応があるとの報告も散見される.また,Reversed Kleinert法と比べ装具形状もシンプルで屈曲制限を設けず,近位への滑走が適度にあるのが利点である.本例も遠方からの外来通院でリハビリ頻度低減が予測されたため,装具管理が簡便な本法が適したと考えた.加えて,術後早期より伸展を維持しつつ屈曲可動域獲得に努めたことで,伸展不全や拘縮発生を予防でき主婦としての役割獲得に至ったと考えた.大原らは,尺骨骨切り術後に,前腕回内位で掌側や尺側に負荷をかけた場合に尺骨近位切除断端がEDC腱に触れる位置に移動し,それを繰り返すことで伸筋腱断裂リスクが増大する可能性を示唆した(大原ら,2020).これを参考に本例の経過に合せて前腕回外位で荷物を持つ等の動作指導を行い修復腱の再断裂や健側肢の断裂予防に努めたことで実用的な手の使用に至ったと考えた.
【結語】関節リウマチ患者の手指伸筋腱皮下断裂例にICAM法を導入したことで良好な可動域を獲得し,その後の動作指導まで行った.ICAM法の導入と再断裂のリスクを踏まえた動作指導は有効であった.